夢醒往還記
夢醒往還記 / 感想・レビュー
星落秋風五丈原
一瞬藤水名子さんかな?と思うほど好んで描くキャラクターが似ていた 「王聡児紅蓮」。森福都さんの「炎恋記」とイメージが重なった 冷徹な美青年が登場する「魔月秘伝」。これらの2編はアクションあり、 陰謀ありと賑やかで、夢と現実を行き来する気の弱い若者を主役に据えた 「夢醒往還記」のみ穏やかで、ちょうど2編のバランスを取っている印象。 「王聡児紅蓮」のみ史実に基づいている。
2002/05/17
るすみら
魔月秘伝、王聡児紅蓮、夢醒往還記の3編を収録。初出はそれぞれ「チャイナ・ドリーム」とその2と3。魔月秘伝は、著者がデビュー前のSFから中華テイストな作風に変化してゆく時のもののよう。この本の中では、夢と現実が交錯する表題作が気に入った。主人公は、夢の中で現実と少しだけ違う世界に出会い、生活をしてゆく。パラレルワールド的な幸せな異世界は、夢から覚めるとただの夢だが、確かな現実感のある夢だった…。Web上で『剪燈新話(せんとうしんわ)』巻二の「渭塘奇遇記」が似た形の物語だと知り、そちらも読みたくなった。
2009/03/01
朱音
最初の「魔月秘伝」は中国と言うより異世界ものに近いだろう。小野不由美の十二国記に近い物も感じる。話が、長編の途中めいた終わり方をしているのがとても惜しい。今後続きが書かれることがあるのかわからないが、連作になるのを望みたい。後の二作は中国もの。いわゆる「中国もの」と言う感じの物であるが読みやすくてよい。話の余韻というかそういった点では「魔月秘伝」の方が好きだなあ…
2002/03/28
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