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顔 / 感想・レビュー
nico🐬波待ち中
『陰の季節』内の短編『黒い線』の平野瑞穂が主役の長編小説。古い体質の男ばかりの組織の中で職務を全うしようとする瑞穂。男尊女卑の激しい世界でもがき不本意な仕打ちにも耐えつつ自分の道を探る。転々と部署を異動させられても、鑑識と似顔絵描きで培った観察眼で犯罪者の心の内を冷静に見極める力が、瑞穂を前へ前へと突き進ませる。何度も心が折れそうになりながらも、警察官としての誇りを忘れずに懸命に取り組む姿に好感が持てる。念願の鑑識に戻れた瑞穂のその後も気になるので、ベテランとなった瑞穂の姿もいつか見てみたい。
2022/07/23
Hitoshi Mita
先日読み終わったD県警シリーズで、この主人公の短編があって、その後どうなったのかと気になっていたから、なるほどと思いながら読み終えた。僕も絵を描く仕事なので、わかるところもあり楽しめた。似顔絵っていうのは、とても難しく、その人の雰囲気などを出すのは、その人をよく知って無いとなかなかかけるものではない。この主人公は似顔絵を描くことに真っ直ぐ向き合い、書くことに命をかけてる。それは犯罪を犯した人間を追い詰める。しかし、その真摯な思いが彼女を苦しめる。犯罪者を追い詰める道具としての似顔絵とはと考えさせられた。
2015/05/29
きさらぎ
警察って、まだまだ女性にとっては働きづらい職場なんだなぁ。偏見やセクハラにめげずに頑張っている平野瑞穂巡査。同僚や後輩の婦警たちが挫折し辞めていく中で、瑞穂自身も悩みながら職務を全うしようと努力する姿がすがすがしい。(実際は、こんな嫌な男性刑事ばかりではないと信じたいが。) 久々に横山秀夫作品を読んだが、やっぱり長編より短編集が好き。
2015/05/04
星群
二言目には『だから女は…!』と言われる男社会の警察機関。トイレも男女兼用。そんな中で、自分の信念を貫くには、どれ程の力が必要なんだろう。私には、想像がつかない。銀行強盗の防犯訓練の最中に、本当の銀行強盗が起きる『共犯者』が印象的。
2012/11/29
B-Beat
◎面白かった。小学生の頃からの婦警になりたいとの夢を実現させた23歳の女性が主人公。夢はかなえたが自分の思うところの理想と周りが作り出す現実との狭間で揺れ動くというか悪戦苦闘する姿が5話に分けて描かれていた。どの話も無理のない展開の後に意表をつきながらもどこか訴えかける情感のある結末が用意されていた。「共犯者」が特に秀逸。読んだ直後の満足感はこれまで読んだ「看守眼」「動機」「臨場」と甲乙つけがたしだったかな。
2013/05/13
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