なぜ泣くの
なぜ泣くの / 感想・レビュー
優希
少しずつ繋がる愛の物語に惹き込まれました。鮮烈な愛は恋というより「濃い」と言う方が相応しく思います。恋愛小説でもドロドロとして生臭い匂いが漂っていました。堕ちていくような性愛と官能の世界は時にほろ苦く、時に甘さがあります。女性のありのままの恋愛の姿には愛とは何かを問いつめているように思えました。恋から愛になっても、寂しさや虚しさが無意識に生まれ、感情よりも自分を模索するように肌を重ねるのが切なくて苦しくて愛おしかったです。恋愛の先がこんなにも寂しいとは予想すらできなくて、儚くてたまりません。
2015/05/29
おかむー
恋愛と結婚と性と幸せは必ずしも重なるものではない、そんな一話目から始まる登場人物がリレー形式になっている連作短篇は、二話目から次第に方向性が変わってきてちょっとばかり苦笑。おそらく読み手の性別で評価が大きく違うんじゃないかな。『可もなし不可もなし』。乱暴に要約すると「男ってばかね、でもそんな男に翻弄されて愛欲に身を焦がすワタシのなかの女、うっとり」。“女性による女性のための精神的エロス小説”といったところでしょうか、男の身としては毒気に当てられたというか精気を吸い取られたというか(笑)
2015/07/16
星落秋風五丈原
からだから、涙に似た欲望のかたまりが、湧き出してくるのはなぜ? からだ中が泣き出す。歌い出す。踊り出す。アパートの各部屋で繰り広げられる、それぞれの恋と官能を描ききった連作小説。
2008/08/15
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短編集なのですが少しずつ繋がっている連作小説でした。愛するってどういうことなんでしょう。結婚って何のためにするんでしょう。何だかこの本を読んでいると色んなことが空しく感じます。愛されたり愛したり…そんな幸せなことが抜け落ちて、寂しさを誰かに満たしてもらう。そんなことに何にか意味はあるんでしょうか。この本を読むにはまだはやかったんでしょうか。だけど恋愛小説のその先がこんな寂しいものだなんて、私は思いたくないです。
2013/03/13
つっきー
★★ 恋愛小説のその先が知りたいあなたに―の帯に踊らされて読んでしまった。久しぶりに小手毬さん独特の雰囲気を味わったけど、やっぱり苦手かも。私の読みが足りないのかもしれないけれど、「寂しい」=「誰かに埋めてもらいたい」的な気持ちが強くて見ていると痛々しく思えてきてしまう。恋愛と性愛って別なのかな。自分の存在を確かめるかのように肌を重ねていく様子が、ひどく浮いて見えてしまった。。。
2011/02/05
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