言い忘れてさようなら
言い忘れてさようなら / 感想・レビュー
おにぎりの具が鮑でゴメンナサイ
それまで互いの存在すら知らずに、ずっと別々の道を辿って来て、交差した場所ではじめて挨拶をして、歩きながら少し話して、同じところで笑って泣いて、同じものを食べて飲んで、ひとつの傘で肩を寄せて、手を繋いだり小指を結んで、いくつか季節を一緒に越えて、寒い時にはあたためあって、もう少しで桜が咲くころ、答えのない問いに戸惑って、何度も二人で考えたけれど、また別の道を行くことになって、言い忘れたことがたくさん残った。「さようなら」は言ってない。けれど言い忘れた言葉じゃない。あなたも同じ月を見て、きっと笑っているから。
2017/03/27
林 一歩
登場人物全てに著者の顔が浮かび上がるのが難点ですけど(笑)、氏の掌編はどれも面白い。
2012/04/25
タカラ~ム
イッセー尾形の舞台の世界観を思わせるような作品が6編収められた短編集。読んでいて、随所にイッセー尾形が登場人物の役を演じている場面を想像してしまう。外国人の女に振り回される中年男やドサ回りの女性歌手から預かった手紙をダメしてしまった少年にとんでもない提案をして掻き回す自称画家の男など、まんまイッセー尾形の一人芝居で演じられそうな感じである。
2011/02/25
山崎ジョー吉@waii
イッセー尾形さんがこんな小説を書いていたとはビックリ。繊細なタッチがとても心地よい。でも、短編集の中には面白いものもあれば、退屈なものも。サッと読める一冊。
2012/08/18
アスタラビスタ
登場人物の人間味や情が伝わってくる。ノスタルジックな切なさを帯びたやさしい物語。心の動きの描写に、著者の繊細さを感じる。
2010/02/26
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