波形の声 (文芸書)
波形の声 (文芸書) / 感想・レビュー
夢追人009
短編の名手・長岡弘樹さんの第5作目の全7編を収録した傑作短編集です。著者の作品はどれもが緻密に計算され尽くした一分の隙もない完璧な物語ですが、常に何処かに人間の優しい思い遣りの心が描かれていますので読後に厳しさの中にも心晴れやかになり癒されますね。ミステリーの魅力の他にも文学小説を読んだ後の様な感動の想いが味わえる事も著者の人気の理由なのだろうなと思えますね。『波形の声』小学校の女性補助教員・谷村が主人公の物語で疎外された児童を助けようと努力し偶然の悪戯でその子が襲われた事件の犯人と疑われても挫けません。
2022/02/17
おしゃべりメガネ
『陽だまりの偽り』『傍聞き』の雰囲気をふんだんに伝えてくれる素敵な短編集でした。どこかうっすらとした人間の持つ‘闇’な部分をジワジワと伝えながら、ほんの一瞬、ひとコマでホッとさせてくれる人間ドラマも用意してくれる展開に、ひたすら敬服します。悪いヤツ、嫌な奴と思っていた人物が実は・・・とある意味マンネリ&ワンパターン化しつつありながらも、その先(展開)が気にならずにはいられない内容で、結局はイッキ読みしてしまいます。『教場』でも味あわせてくれたヒリヒリする緊張感を本作の中でも十分に味わうコトができます。
2014/04/13
takaC
読みやすかったけれど普通な感じ。初出を見ると時期も掲載誌もバラバラだったけど、寄せ集めてからテーマを設定したのだろうか。なんとなくちぐはぐな印象も残った。期待し過ぎなのかな? 初出:波形の声「問題小説」2009年9月号、宿敵「読楽」2012年11月号、わけありの街「読楽」2013年10月号、暗闇の蚊「問題小説」2010年12月号、黒白の暦「問題小説」2011年8月号、準備室「問題小説」2010年3月号、ハガニアの霧「読楽」2012年3月号
2015/09/29
ダイ@2019.11.2~一時休止
短編作家らしい読みやすさ。未単行本の作品が新人賞受賞作含めてまだまだあるので、もっと単行本化して欲しい。
2014/05/07
けい
日常に潜む、人の心の暗い所にスポットを当てる七篇からなる短編集。『傍え聞』『教場』に共通する、最後にバッサリ切ってくる長岡節は健在ですが、題材的に少し弱いのが残念でした。その部分を意識してか、内容的には今作の方が幅広く、文章も凝っていたよう思います。長岡さんの文章は軽めなのであっさり読めてしまいますが、毒のある内容には変わりない。でも読後感の良さが不思議です。
2014/04/03
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