人魚の石 (文芸書)
人魚の石 (文芸書) / 感想・レビュー
徒花
献本。まあまあ。冒頭から中盤にかけては人魚や天狗が主人公とほのぼのするだけだったのでちょっと退屈したりしたけれど、終盤になっていろいろショッキングな展開が繰り広げられて一気にホラー感が出てくるので、いい意味で期待を裏切られた。この展開を知ってしまうと、それ以前のパートが伏線だらけだったような気がして、もう一度読み直したくなってくる。あとうお太郎のキャラがいい。田辺青蛙さんは初読みだが、ほかの作品もちょっと読んでみたくなった。
2018/01/27
mocha
なんだろう、この湿度。人魚の匂いとかヌメッとした空気が重くまとわりつく。不思議な石とたくさんの秘密を隠し持つ山。和のファンタジーかと思いきや、ムードはホラーだった。この不気味な感じ、クセになりそう。
2019/10/14
★Masako★
★★★+青蛙さん二作目。何とも不思議な幻想ホラー♪亡くなった祖父母の代わりに山寺の住職となった日奥ユキオ。寺の池で見つけたのは真っ白で人間そっくりの人魚の「うお太郎」。うお太郎と暮らす内にユキオの周りで奇々怪々な事が起こる。妖と人間が共存している山奥の世界。飄々としていて謎の多いうお太郎、不思議な力を持つ様々な石、天狗、もう一人の人魚との出会い。ほのぼのとした味わいの中にも、湿り気のある不穏な空気感と見え隠れする過去。最終章には思わずゾクリ?驚きと謎の残る結末に、また読み返さないではいられなかった!
2018/03/23
annzuhime
図書館本。後を継いだ寺の池の底から現れた色白の人魚。そこから始まる人魚との不思議な生活と石に纏わる話。石が見せる記憶と真実。自分が見てる世界は夢か現か。久しぶりに読んだ田辺さんの作品。幻想的かつホラーなこの世界観がたまらなく好き。後半の真実が解明するところは衝撃的だったけど、主人公が見た未来の風景に少し救われた感じがする。ただ、この本を読むと、人魚に関わりたくはないなと思ってしまうね。
2018/01/25
たぬ
☆4 6年前に『生き屏風』を読んで以来ずっと気になっていた作家さん。人魚「うお太郎」が実にその辺にいそうな軽い性格の若者キャラ。この手の人外登場譚としては幻想も怪奇もグロさも薄いのだけど、祖父母の過去エピからは一気に暗黒化。最終ページのヤグロの台詞にゾッとした。欲を言えば兄をもっと出してほしかった。
2021/07/03
感想・レビューをもっと見る