雨と詩人と落花と (文芸書)
雨と詩人と落花と (文芸書) / 感想・レビュー
いつでも母さん
タイトルは葉室作家の娘さんの書だそう。儒者・漢詩人の広瀬旭荘の苦悩とその妻・松子の生涯。夫・旭荘の事をよ~く理解していて、「目の前のひとりを懸命に救おうとするひとが本当に多くのひとを救えるのではないか」と云う妻が素晴らしい。自ら病の床で夫に「今日のほうがいい」という妻に頭がさがる。旭荘を残し先に逝くのは辛かっただろう。いくら才能があってもこんなDV夫は私は願い下げだが、包んでも余りある一つの夫婦愛をみたような気もする。
2018/07/07
starbro
葉室麟は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者にしては、珍しいタイトルだと思っていたら、漢詩の一部でした。本書で広瀬旭荘という人物を初めて知りました。江戸後期DV漢詩人夫婦愛情物語、著者ならではの渋い佳作、一気読みしました。葉室麟の新作を後何作読めるのでしょうか?
2018/04/03
Lara
葉室麟氏、二作目。江戸後期の儒学者・漢詩人、広瀬旭荘と、妻・松子の夫婦愛の作品。少栞「ひとは才において尊いのではない、ひとを慈しむ心において尊いのだ」采蘋「ひとはひとによって生かされている」「ひとを生かすのは女だ」ひたすら、旦那さん・旭荘に尽くし29才で亡くなった松子さんが、不憫で仕方ありません。最後は涙でした。
2020/01/14
それいゆ
いつものパターンです。葉室麟は実在の人物を描くと途端にその筆が鈍くなります。咸宣園の広瀬淡海、緒方洪庵、高野長英、渡辺崋山、水野忠邦、そして大塩平八郎と次々と登場しますが、史実の解説のような話は面白くないです。架空の小藩を舞台にした創作作品はいつも一気読みで感動させられるのに、今回は残念!
2018/04/10
真理そら
旭荘と松子の関係は理解できるような理解できないような…。松子の家を初めて訪問したときの詩のように優しく繊細な愛情は溢れているのに、それをうまく表現できず、つい暴力に走ってしまう夫。不器用な男の妻への感謝を込めたラブレターのような作品だった。
2018/08/23
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