W県警の悲劇 (文芸書)
W県警の悲劇 (文芸書) / 感想・レビュー
鉄之助
期待しすぎて、ちょっとガッカリ、の1冊だった。最後の10ページで無理に劇的なオチをつけたため、着地に失敗した体操選手が”つんのめった”、読後感だった。地方採用の警察官の間にある「巨大な壁」。警視と警視正の違い、にまつわるドロドロのドラマをみっちり読みたかった。
2023/03/13
starbro
葉真中 顕は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。警察連作短編イヤミステリ、ライトな感覚ですが、著者ならではのポイズンが、其処彼処に組み込まれています。オススメは、『私の戦い』です。W県は、和歌山県しかありませんが、不祥事が多過ぎて、実名は憚られたのでしょうか(笑)
2019/02/07
しんたろー
『絶叫』以来の葉真中さん2冊目。地方警察で女性警官たちを主役にした連作短編。どの話も立場が違う主人公の目線で事件を追い、途中からは不穏な空気が漂う形式で「どうなる?」と興味を引き、終盤でガラッとひっくり返す筆力は見事だと思うが、人心の闇が強くて気持ちが暗くなる。それは女性である悲哀と強かさが生々しくリアルなので、男の私には恐ろしく感じるのかも知れない。トリックも伏線回収もフェアなのでミステリとして正統派だと唸らされたが、印象としては「NEWイヤミス」と言える感じ…「上手い!けど、後味悪~い!」と呟いた。
2019/03/29
ウッディ
女性の地位が低い警察社会、特に男尊女卑の考えが強いW県警の女性刑事達とメスの警察犬の活躍を描いた軽いミステリー。軽く読めて、意外な結末を迎える事件の謎解きは、イヤミスあり、叙述トリックありとバラエティに富んでいて面白く、葉真中さん、こんな小説も書けるんだという驚きもあった。ただ、Wの悲劇を文字ったタイトルは和歌山県に思えて仕方がなかった。県警初の女性警視正になった松永菜穂子のこれからの活躍を期待していたら、そういうオチだったのね〜。面白かったです。
2019/04/30
Yunemo
「政治的に正しい警察小説」からの流れでの本作品と理解して。5編ともにそれぞれにW県警警察官の人的な心の闇を、ひとひねり、どんでん返しによって、「洞の奥」から「消えた少女」により完結、でもね今後どうするんでしょうねW県警は。全体的にひねり過ぎて、逆になんだかなぁという感覚も一面にあって、決して賞賛ばかりじゃなく戸惑いも。でもね嫌いじゃないですよ。新境地としての警察小説に今後の期待感が募っています。前代未聞の警察小説の名に恥じぬ作品、ロスト・ケア、絶叫に繋がる作品と交互に読み比べていくのが楽しみになりました。
2019/02/11
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