ブルーブラッド (文芸書)
ブルーブラッド (文芸書) / 感想・レビュー
starbro
故藤田 宜永は、奥様、共々新作中心に読んでいる作家でした。2月の第一作目は、著者の遺作?、日活冒険活劇のような手に汗握る国際謀略ノスタルジーミステリの佳作でした。これからもう著者の新作を読めないと思うと、とても哀しいし、寂しい限りです。改めて、心からご冥福をお祈り申し上げます。
2020/02/01
のぶ
戦後の混乱期を舞台にしたサスペンス。主人公は復員兵の貝塚透馬。三年半ぶりに本土の地を踏んだ透馬は、軽井沢の山荘に疎開していた両親が、ピストルを持った強盗に撃ち殺されたという事実を知らされる。両親を殺したのは誰なのか?読み進むうちに事件の裏にナチスの隠し財産をめぐる謀略が明らかになってくる。やがてフランス留学時代の旧友、恵理子に再会したことで思わぬ方向に進んでいく。最近の藤田さんの小説は恋愛小説の傾向が強かったが、本作は初期に冒険サスペンスの要素が盛り込まれており、自分の好きなジャンルの作品だった。
2019/12/31
kei302
追悼読書|男と女の価値観のすれ違いを書かせたら藤田氏の右に出る小説家はいない!財宝の争奪戦に、諜報活動に、軍の再興にと夢を追う男たち。ブルーブラッド:青い血《あなたの血は、わたしたちとは違う色をしている》。八重の素直さ、忠実さが美しい。透馬が最後に恵理子に向けて言った言葉は“真理子”と読めてしまう...(涙)
2020/02/05
なっく
この正月は、直木賞夫婦の藤田宜永・小池真理子を読もうと思っていて、まず藤田宜永の遺作である本作から。いつもながら藤田さんの描くハードボイルドは、暴力シーンは少なめで、オシャレでスマートな男たちが登場し、やたらカッコいい。本作の主人公も、フランス語や英語を操り、カーレースの腕前も抜群で、その復讐劇にミステリーやロマンスを織り交ぜたストーリーを堪能した。そう言えばサングラスがトレードマークの藤田さんは、実生活でもヘビースモーカーを止めず、肺がんで逝ってしまった、まさに自らの生き方もハードボイルドだった、合掌。
2021/01/05
はれひめ
昭和のハードボイルド。お決まりの軽井沢と煙草とお酒。映画で観たかったです。皆さんのレビューにもありますが、石原裕次郎に宍戸錠や北原三枝のイメージ。メイドの八重はおぼこい吉永小百合で。もし書き溜めた未発表の作品があれば書籍化していただきたい。淋しいです。
2020/06/09
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