名場面で味わう日本文学60選
名場面で味わう日本文学60選 / 感想・レビュー
いっち
作家や研究者が、日本文学を選んで、抜粋シーンと作品の解説をする。中島京子さんの、田山花袋『蒲団』の解説が面白かった。中島さんは、『蒲団』が勘違い小説の傑作と言う。主人公の作家が、女弟子をとる。女弟子は若い男に恋をしているようだった。主人公は、タイミングさえ合えば、自分が女弟子を手に入れられたと考えている。しかし中島さんは、女弟子が主人公に恋をしたとは考えられないと言う。「尊敬」を「恋」と見做すのは、勘違いだと。女弟子は主人公を尊敬していたが、恋の対象ではなかった。主人公は尊敬を恋と勘違いしてしまった。
2023/04/27
朔ちゃん
題名のとおり60の小説の名場面を紹介した本で、解説者は5名の著名人。先入観がないままフッと読んで、ハッとなって(ときどきヒィとかヘッ?となって)解説読んでホォ…と腑におちる。60通りの百面相を味わった。平野さんとは相性いいなぁと思ったし(畏れ多い発言です。あくまで私の一方的な片想いです)田中さんのエッセイ風の解説にも惹かれた。読後は読みたい積読本がますます増えて、嬉しい悲鳴をあげている。
2021/05/27
のせなーだ
作家はどんなふうに感じて、文学作品を読んできたのか知りたいような。その読書を覗き見したいような気持ちもある。 それぞれ切り取られた場面は、たしかに惹きつけるものがある。作家自身の視線とか感受性とか興味もある。特に田中氏に対して意外性と新鮮なものを感じた。
2022/06/11
なーちゃま
平野啓一郎の案内する文学が最も刺さったので彼と趣味が合いそう。何より、日本文学へのハードルが下がるこういった本がもっともっと出てくれると嬉しい。平野が出していた『スローリーディングのすすめ』ぐらい丁寧に文学評論してくれる本もあるといいなぁ。 幸田文『流れる』、村上春樹『風の声を聴け』がお気に入りになった。いつか取り寄せて読んでみたい。
2022/03/27
れいまん
当代一の書評家たちの、名作の名文箇所の原文とその読み解き有ると期待を込めて読んだもの。 明治期のたけくらべは、原文に触れられて良かった。幸田文氏の文章は初めて触れたが、生き生きとした人間描写は感動する。太宰治はやはり面白い。機会あれば読みたいが、特急のように名作を駆け抜けた読後感だった
2024/04/19
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