向田邦子映画の手帖 (徳間文庫 む 6-1)
向田邦子映画の手帖 (徳間文庫 む 6-1) / 感想・レビュー
おさむ
古本屋で発見。昭和27年から9年間勤めた映画雑誌編集部時代の編集後記などが掲載されており、20代の向田さんの息遣いが感じられます。「ビジュアルな文章」という形容は、向田文学の特徴の一つだと思います。雑誌記者として多くの外国映画を観たことは、後にテレビドラマの脚本を描く肥やしになったんでしょう。本作に収録されている和田誠さんとの対談は航空機事故で亡くなる直前に行われたもの。そのテーマが「映画」だった点に、何か不思議なえにしを感じてしまいますね。
2016/12/10
Galilei
ちょっとおすましで、カジュアルな文体。それは、長く続いた暗闇の戦争から一転して明けた曙、アメリカ物量の瀑布の中で、芸能・芸術の最先端である洋画の一端に踊り出て、邦子の喜びと感性が溢れ出ています。当時、イタリア映画が全盛で、ヴィットリオ・デ・シーカ VS ルキノ・ヴィスコンティ、さらにはフェデリコ・フェリーニ。文学の名作の映画化にハイテンション。アメリカ映画は単純なシナリオだけど、超娯楽△エンドロールには売り出し中のディオール、ジパンシー、ロベルタなどが。試写室が、後の邦子を作り上げた道場だったようです。
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