頬をつたう涙 (徳間文庫 と 5-3)
頬をつたう涙 (徳間文庫 と 5-3) / 感想・レビュー
新地学@児童書病発動中
名翻訳家で直木賞作家の常盤新平による短編集。普通の人々の日々の哀感を描いた作品集で、読後に深い余韻が残るものが多い。表題作が一番好きだった。失恋して泣きじゃくる年頃の娘に、親ができることは少ないのかもしれない。それでも父は娘の悲しみを思い、娘の心に寄り添おうとする。娘を思う父の心が切ない物語。「酒呑みたちのオーケストラ」も心に残る作品。弟が不器用にしか生きられなかった兄の人生を振り返る。小説の中で書かれる兄弟の絆が胸に沁みた。
2018/08/11
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