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海がきこえる (徳間文庫 ひ 15-1)

海がきこえる (徳間文庫 ひ 15-1)

海がきこえる (徳間文庫 ひ 15-1)

作家
氷室冴子
出版社
徳間書店
発売日
1999-06-01
ISBN
9784198911300
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海がきこえる (徳間文庫 ひ 15-1) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

初出は月間「アニメージュ」への連載であったものを単行本化、文庫化と2度の改訂を経てこのスタイルに。いわゆるティーンズ小説だろう。ただし、30年も前の。主人公の拓は高知の高校から、今は都内の大学に通うが、純情、純朴を絵に描いたような青年。一方の里伽子は東京から高知に転校し、今はやはり都内の大学に通う。こちらは、典型的な都会型。二分方でいえば、拓は子ども(いまだに)で、里伽子は高校生の時に既に大人であった。二人の恋物語ではあるのだが、さしたる進展を見せるわけではない。それがいいといえば、まさにそうなのだ。

2022/10/13

のっち♬

高知を舞台に高校生拓と東京からの転校生里伽子が辿る青春の軌跡。近藤の挿絵と呼応した光景やイメージを連ねる手法が、独特な広がりのあるノスタルジーを醸し出す。美少女のツッパリと脆さに翻弄されつつ惹かれる人当たりの良い主人公。程よい距離感で人物の心情と動作を丁寧に汲み取れば、設定のレトロさもバブルの垣根を越えた煌めきを放つ。物質社会でも等身大の(エッセイ作家ならではの)庶民感覚と良識を貫き、なけなしの勘と意地を動員する拓の人物像によるところも大きい。気取らず、しつこくない。甘酸っぱさよりも淡い気怠が残る代表作。

2022/07/19

chiru

ジブリアニメのDVDはよく見てたのに、未読だった小説版。 東京から高知の高校に転校してきた里伽子は、誰とも親しくしようとせず周囲から孤立。 そんな里伽子を気にかける拓を、振り回してしまう気持ちは、ちょっとわかる気がする。 里伽子の純粋さや弱い部分を理解しようとする拓がとても魅力的。 この年代の男子は、頼みごとをすると文句を言いながらも、いつも引き受けてくれてたこと思い出す。 学生時代がとても懐かしくなる作品。 ★4

2018/05/16

しゅわ

氷室冴子さん勝手に再読祭りの第24弾はジブリのアニメにもなった青春物語で、里伽子という女の子に振り回される…ちょっと押しの弱い男の子が主人公。なかなか素直になれないあの頃の気持ちが蘇る瑞々しい一冊です。再読祭りといいつつ…実はずっと積読本で、読んだのは初。自他共に認める氷室先生ファン&ジブリ好きなのに、なぜか?このコラボ作品はいままで手が出せずモヤモヤ。もっと早く読めば良かったなぁ~と密かに後悔。せっかくなのでアニメもみてみます。恋愛模様より、女の子達の和解が印象的だったのは大人になってしまったからかな。

2014/06/17

ゐづる

高知市というところは、余程文学と親和性があるのか、名作が多い土地ですね。一度ぐらいは行かねば・・・この作品はジブリのアニメでも知られていますが、僕は今回初めて読みました。なかなか伝わらないふたりの気持ちにジリジリしますね。お互い不器用で、相手のことを思いやっているのに、若さゆえかうまく表現できない場面がたくさんあって、はーっ若いなあ、恋愛ってやっぱりええもんやなあとか思いながら読みました。初出がアニメ雑誌ってことで色眼鏡で見られそうですが、読んで絶対損しない、そんな作品です。

2014/09/16

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