羅城門 (徳間文庫 さ 11-22)
羅城門 (徳間文庫 さ 11-22) / 感想・レビュー
きくちゃん
澤田ふじ子の初期長編作品だそうである。律令の時代、国家の威信をかけた羅城門建設のプロジェクトに題材を取り、そこに携わった人々の姿を為政者と実際に造営に当たった人々の両観点から描いている。完成後、数十年の後に倒壊したこの大建造物をある種のミステリー仕立てにしているところは作家として非凡。国家の揺籃期に繰り広げられたであろう様々な人間模様を庶民の味方に立って好意的に描かれている。いつの世も支配者の行跡は虚飾に彩られるが、実際のところはどうだったのか?そんな疑問に答えるひとつの解答ではある。
2017/08/07
感想・レビューをもっと見る