はぐれの刺客 (徳間文庫 さ 11-25)
はぐれの刺客 (徳間文庫 さ 11-25) / 感想・レビュー
きくちゃん
過ぎたるは及ばざるが如しと言うが、この小説の主人公が正にそうした運命の人生を歩む。尋常ならざる剣の使い手であるが故に狂気とも言えるその太刀筋に周囲が敬遠し、加えて生涯を部屋住みで送らなければならない宿命の枷を背負いながら生きる鬱屈した心情がある事件をきっかけにしてその流転の歯車を回し始める。世が世なら栄達の道を歩むはずの大手柄が一転、藩から蟄居という予想外の処分を受け、それでも侍としての矜持が意地の人生を貫く。襲い来る社会の理不尽さは小説の世界の話だけではなく現代に生きる誰にでも起こり得る出来事である。
2017/11/19
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