共犯マジック (徳間文庫 き 16-1)
共犯マジック (徳間文庫 き 16-1) / 感想・レビュー
🐾Yoko Omoto🐾
千街氏のマストリード本より北森作品初読み。占った人物の不幸と災いのみを百発百中で予言すると言われる「フォーチュンブック」。とある町の書店で偶然それを手にした7人の男女に数奇な運命は必然となって降りかかる。最後の最後まで着地点がまったく読めない、何とも奇妙で不思議な読後感の作品。各章で本を手にした男女それぞれのストーリーが展開されるのだが、直接的な繋がりを見せぬまま不気味に7人の影がそこかしこに見え隠れする。現実に起こった昭和の大事件をリンクさせ、真相を北森流に切り込んだ壮大なブラックファンタジー。面白い。
2014/05/09
KAZOO
この本も再読ですが、今回の方が印象に残ったような気がしました。「フォーチュンブック」という本が人の不幸を言い当てるということで販売は自粛になりますが松本のある書店で何冊かが売れてしまいます。その本を持っている人と世の中で実際に起きた事件(ホテル・ニュージャパンの火災、大学紛争の全共闘、グリコ・森永事件、500円硬貨偽造、三億円強奪、横須賀線爆破、多摩川決壊)を背景として話をつむいでくれています。
2023/08/08
セウテス
壮大な仕掛けに、驚くしかない。松本市のある本屋で、フォーチュンブックという不幸の予言書を手に入れた男女7人の、その後の人生物語。各々が巻き込まれた事件を一つの短編とし、一見バラバラに見える人生模様が、帝銀事件、三億円事件、グリコ森永事件など昭和を代表する事件に関わる事で、一本の糸の様に紡がれて行く。まるで読者を共犯に取り込んだ様に展開する物語は、緻密であり予想を許さず、これが真実であろうと思える程。作者の描き方は臨場感があり頭の中で映像化され、容赦ない運命の重圧に我が身を振り返り不安に包まれる程である。
2018/12/06
KAZOO
いまちょとづつですがこの作者の本を読みなおしています。こんなに早く亡くなられるなんて残念です。本当に仕掛けがうまくていつもうならされていました。この本もそうで、連作なのですが、最後まで読むと、という感じがあります。
2014/07/24
アッシュ姉
ありとあらゆる幸福を一切否定し、不幸と災いのみを予言する「フォーチュンブック」。ある日偶然手にした七人の男女は、占い書に導かれるようにそれぞれ数奇な運命をたどっていく。人物の把握にやや手こずりましたが、どう収束するのか予想つかず一気読み。結構好みで面白かったです。オカルト、ミステリー、連作短編、群像劇、様々な要素で楽しめました。歴史上の大事件の真相を探っていく話は好き。昭和の未解決事件を扱った作品も数多くありますが、本作の仮説も興味深いものでした。あの事件の犯人が同一犯…なるほど。
2014/11/11
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