大年神が彷徨う島 (徳間文庫 ふ 20-5 探偵SUZAKUシリーズ)
大年神が彷徨う島 (徳間文庫 ふ 20-5 探偵SUZAKUシリーズ) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
「八つ墓村」を想像させる島の閉鎖性や人間性の醜さに加え、五行相克の陰陽道や蠱術や憑き物筋などの民俗装置の展開が楽しいです。さらに出だしが「姑獲鳥の夏」でも出ていた不動明王生霊返しだったのでテンションがアップします。そのうえで警察機構を皮肉り、愚かな人々に対して冷たくもありながらも人に対して絶望しない朱雀さんの言葉が激動の時代へ突き進みつつある昭和初期を思うと遣る瀬無くなります。悪なのは独裁者ではなく、それに唯々諾々と従い、後になって己の罪を棚上げにして批判する大衆でもあることを忘れてはいけないのだ。
2012/02/15
狛豆
正直なところ、犯人の目星はすぐについてしまったけれど、それにもかかわらず、とても面白かった。何より、ラストが、いい。暫く余韻に浸っちゃったな。藤木稟さんの作品は、文章が読みやすいのと、キャラ設定が素晴らしいのと、世界観が魅力的なのと。その前では犯人やトリックは些かどうでも良くなってしまう気がする。まぁトリックも毎回壮大かつよく考えられていて、すごいなぁとは思うんだけれども。あぁあと、朱雀さんがすっかりお兄さんぽくなっていたところは、読みながらにやにやしてしまった笑
2014/03/16
sugiane
久しぶりにこの方の朱雀シリーズを手に取りました。一気に読ませる力はさすがだなあと。そして島独特の閉塞感に息がつまるような感じ。
2013/10/13
アキ
伝奇風と思いきや社会派推理小説。共産主義や宗教論が主人公の口から語られている。像のトリックは初見だったが、印象に残ったのは島の閉じた世界の恐ろしさか。
2021/03/09
感想・レビューをもっと見る