神田堀八つ下がり: 河岸の夕映え (徳間文庫 う 12-2)
神田堀八つ下がり: 河岸の夕映え (徳間文庫 う 12-2) / 感想・レビュー
ミカママ
やっぱりいいなぁ。「世の中うまくいかない。だから浮き世って言うんじゃないか」。江戸の河岸周辺に暮らす、市井の人々の6つの物語。水の流れは人の心を癒しますよね。人情あり、ロマンスあり、どれもホロリとさせられるものばかり。直木賞候補にも上がったそうで、選者の林真理子さんが江戸の少年少女の恋を「上質なエロティシズム」と評されたそうだが、まさに同意。私も読んでいる間じゅう、作中の江戸娘になりきって堪能させていただきました。
2015/08/08
ふう
江戸の人々を描いた小説が好きになったきっかけは、宇江佐さんの作品でした。読メに来る前にはずいぶん読んでいたのですが、3年ぶりくらいの再会。6篇のどの話にも、思うようにはならない貧しい人々の切ない暮らしと、それでもお互いを思いやり、謙虚に生きるやさしさや知恵が描かれています。「身は姫じゃ」 損得抜きに迷い子の世話をする岡っ引き一家のお人好しさがいいですね。 自分のことばかり考えていると心も小さくなってしまうけど、誰かのために、という生き方ができることが幸せなんだろうなと思います。 ご冥福をお祈りいたします。
2015/11/15
tengen
江戸の下町にある河岸での小さなエピソード。 どれも良かったが、身は姫じゃのオチが良い。☆彡 どやの嬶-御厩河岸/浮かれ節-竈河岸/身は姫じゃ-佐久間河岸/百舌-本所一ツ目河岸/愛想づかし-行徳河岸/神田堀八つ下がり-浜町河岸
2018/11/14
シュラフ
江戸庶民の市井ものについては多くの作家の作品があるが、宇江佐真理さんのそれは間違いなくいい。だが、宇江佐真理さんはメジャータイトルに縁のない作家であり、数十年先には消えていってしまう作家のひとりかと思うとなんとも残念・・・。この短編集もどの作品もよい出来栄えである。「どやの嬶」は火事で焼け出されて大店暮らしから御厩河岸へと越してきた娘の物語。お嬢さん育ちのためかどこかツンとした感じの娘が船宿一家との出会いによって、はじめは戸惑いながらもやがては好意を抱きはじめるのは娘が成長した証左。読み手としてうれしい。
2015/08/20
ベルるるる
どの短編も派手さはないけど、どれも胸に何か残る話だった。「おちゃっぴい」の続編で、菊次郎が子だくさんの父親になっていたり、龍吉のお父さんが相変わらず子煩悩だったり、楽しく読めた。どの話も好きだったけど、「身は姫じゃ」のお姫様が、どれほど心細く不安に橋のたもとで一人で生きていたか考えたら涙が出そうになった。伊勢蔵の家で、おちか達にお世話してもらって本当によかった。おちかの胸でほろほろと泣いたお姫さま、幸せになってほしいよ~!
2015/10/16
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