流沙の塔 上 (徳間文庫 ふ 3-16)
流沙の塔 上 (徳間文庫 ふ 3-16) / 感想・レビュー
すこにゃん
私たちには馴染みのない中華人民共和国の黒社会を超級スケールで描いてゆく作品です。日本と中国を股に掛けて秘密結社や軍や国家安全部やイスラム党などの登場人物が絡み合い舞台は新疆ウイグル自治区へ。このイスラム地の複雑な歴史も自ずと知る事になります。天安門広場自動車突入事件が少し身近に感じるようになりました。華僑も交えた漢民族の秘密結社で暗躍する日本人海津明彦の運命はこの先如何に?殺されたロシア女性達の正体は?気力が充実している時に登場人物を整理しながら一気に読まないとね。さあ下巻へ。
2014/02/15
Katsuto Yoshinaga
再読。「信義に厚く、中国人としての律義さを抱いたまま日本社会に溶け込もうとした」老華僑に育てられた海津明彦は、1997年7月末、養父に命じられ義を果たすため大陸に渡る。序盤で、1997年当時、チベット自治区昌都で暴動(=反漢民族運動)が起きたこと、産軍複合体の活性化を促すための敗北という中越戦争の本質が語られる。しかし、これはサイドストーリー。本論である新疆ウイグル自治区の実態、ウイグルにおける原理主義と民族主義の対立、黒社会の覇権、共産党の利権をめぐる争いに海津明彦は巻き込まれ、突っ込んで行く。
2021/12/03
rogouzin
義兄に呼び出されたホテルに薔薇の花がちりばめられたロシア人女性の死体。 興味をそそる冒頭だが、海津が中国へ向かったあたりから話が大きくなりすぎて置いていかれた感をもつ。 求婚したチベット族の娘を公安に人質にとられた人民解放軍戦争英雄、男狂いの公安女次長、日本の特務機関の生き残りと登場人物はどれも面白い。客家の組織や、中国の社会が垣間見れるのも良かった。
2015/11/24
Yoichi Taguchi
先の『ひとたびはポプラに臥す(宮本輝)』で中国西方地域(かつての東トルキスタン共和国)に惹かれて、船戸氏の『流砂の塔』を読むことに。中国における華僑グループの対立、ウイグル地区における小数民族の反乱、これに公安部・軍が絡んできて・・・何とも言えない船戸氏ワールドが開始される。上巻は比較的波乱の少ない静かな幕開けだが、下巻で『滅びの文学』全開か?
2014/02/12
さりぱぱ
★★☆☆☆
2008/12/22
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