グリズリー (徳間文庫 さ 34-1)
グリズリー (徳間文庫 さ 34-1) / 感想・レビュー
ナルピーチ
今ここで巨大国家との戦争を開始せよ─。たった一人で超大国に戦争を仕掛けた男の壮絶な怒りと戦いの物語。そのあらすじからは荒唐無稽にも思えたが、そんな印象を大きく覆し、頁を追っていく度にこの男の抱える信念の凄まじさを知る事になる。コードネーム〈グリズリー〉と呼ばれた孤独なテロリスト。この小説から読み解く姿は無骨にして繊細。相反する言葉でしか表現の使用がない。後半から一気に加速し、終盤に向けた丁寧で周到な物語運びを堪能しつつ、その命を賭してまで訴え掛けた物語の行方とは。最後まで読み応えのある重厚な一冊だった。
2024/05/06
つねじろう
暑い日が続くから凍えるくらいの本が良いかなあって。ところがとても熱いお話しだった。その始まりもなかなか物騒ではある訳だけどページを捲る度にそのワイドとデプスを増ししっかりついて行かないと話の展開に取り残される。で次から次へと登場する人物に辛抱強く付き合って行けなかったり展開のスケールの大きさとビュンビュン上がって行くスピードについて行けないと振り回され後手後手に回る警察や米国政府と同じ目に合う。グリズリーは言う自分はたった一人の軍隊だと。そのグリズリーに翻弄されながらも魅了される人々の物語です。大満足。
2018/07/09
翔亀
この作家初読。山岳/警察/探偵小説と様々なジャンルを手掛け、山岳ものに興味を惹かれつつ国際謀略小説の本書に手を出したのは、舞台が知床のため。その意味では登山禁止の半島先端の山々や、百名山の羅臼山が、舞台としてうまく使われ、巻頭の知床半島の地図を参照しながら"知床の机上体験"は楽しめた(私立探偵ものでNYの街を楽しむのと同じ感覚)。ただ米国大統領までを登場させるとなると、趣味の問題ではあるが、こういう"大政治"を物語の小道具として使うには、冷戦後の国際情勢の中ではどうしてもアラが気になってしまう。↓
2015/08/26
禅
熊の様な大男を連想することからコードネーム「グリズリー」と呼ばれる。知床・東京を舞台に更にアメリカ合衆国を相手にテロ行為。戦闘シーンは迫力あるが愛だ恋だと言われると少しふやけてしまう。600ページ越え頑張って読みました。
2024/01/31
Yuri
タイトルから勝手にクマと闘う山岳小説をイメージしてたら、コードネーム『グリズリー』、爆弾を扱う国際的政治テロリスト。緊迫する場面も多くて、一気読み。何故か最後まで憎みきれないグリズリー。面白かったです。
2020/10/21
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