クラッシュ (徳間文庫 は 26-3)
クラッシュ (徳間文庫 は 26-3) / 感想・レビュー
GAKU
「不夜城」でデビューして二、三年後の作品が五篇。更に五年後位の作品が三篇収録された短編集。主人公はシャブの売人、キャバ嬢、売れないホスト、ストリートギャング等社会の底辺で蠢くアウトロー達ばかり。短編とはいえ作者特有のダークな世界が描かれており、どれも救いようのない話ばかりです。勿論「不夜城」始め初期の長編程の強烈さはないですが、デビュー当時の馳さんファンとしては、久々に馳ワールドに触れさせていただきました。また「不夜城」のような作品、書いてくれないかな。
2016/09/25
hit4papa
どろっとした悪意に不快感すら感じる作品集。アンダーグラウンドの世界を白日のもとに晒す著者らしい8作品が収録されています。少女や少年が主役の「ストリートギャル」、「ジャンク」といった受け入れ難い作品はあるものの、タイトル作は成長物語として読ませてくれます。読後感は総じて悪いのだけど…。対立するチームから逃れた先は「ギャングスター」、キャバ嬢のバイトに明け暮れる女子大生「スリップ」など。美しいが故に女性を虜にするものの性的に問題を抱える青年の苦悩「クラッシュ」だけは、本作品集の中で微かな希望が見出せます。
2023/03/26
mr.lupin
馳さんの短編集。読みやすかったけど、う~ん、内容がいまいちかな。どうしても《不夜城》のイメージが凄すぎて内容が薄っぺらいのは否めないかな。☆☆☆★★
2015/12/19
Tetchy
夜の仕事や裏社会で生活する人々を描いた短編集。各編どれも相変わらず救いがない。ほとんどの作品が物語をほっぽり出して唐突に終わる。歯切れの悪い読後感が残され、どう収拾つけたらよいのか解らないと云ったところ。およそ向上心とは無縁の人間たちの日々と生活が如実に語られる。そこには物語が読者に抱かせてくれる幻想などは一切ない。そんな人々の話を馳氏は勢いと衝動に任せて筆を奔らせているように感じる。したがってほとんどの作品が起承転結がないといってよかろう。しかしこれほど読後感が悪い短編集も珍しい。本当に何も残らない。
2013/02/22
タナー
何年か前までは、短編集というのは自分的には苦手だった。短く限られたページ数の中できっちりストーリーをまとめるというのは、作家といえども至難の技だと思っていたのだ。そんなわけで、短編集=読むに値しないもの的に長いこと思っていたのは事実だ。が、しかし....。ここ数年、短編を描いても面白いなぁと思える作家に出会えるようになった。自分の中で、馳星周氏は数少ないそんな素晴らしい作家の一人である。この1冊も素晴らしい作品ばかりで構成されているが、お気に入りをひとつ挙げるなら、「マギーズ・キッチン」かな。
2017/11/23
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