人間臨終図巻4<新装版> (徳間文庫)
人間臨終図巻4<新装版> (徳間文庫) / 感想・レビュー
ベイス
死にも死んだり、実に923名の古今東西著名人の臨終絵巻、堂々の完結!人の死に様を知るということは人の生き様を見るということ、いつ訪れるかわからない我が臨終のときに備えて、よく生きよう、と思わせられた。世界に誇れる名著ではないか。鈴木貫太郎と岡田啓介は「老害ならぬ老益もあるという稀有な一例」。人間宣言した天皇に代わり天皇宣言した璽光尊、組閣し厚生大臣に双葉山とは…!必読の本とも出会える。この巻では『蘭学事始』『養生訓』『フランクリン自伝』あたり。何しろ情報量が膨大、普通に人物事典として本棚に置いておきたい。
2023/09/25
鱒子
最終巻。77歳〜百代まで。シニカルで痛快な山田風太郎節、楽しませていただきました。鳥羽僧正のところは声をあげて笑ってしまいました(人の死を扱っているのにねぇ……)。夫人が亡くなったあと急にガックリくる男性は多いなぁ。女性は逆のことが多いけど(あくまでわたしの身近な例です)。巻末の名解説は、筒井康隆氏。もしも本作の番外編が望めるなら、ロックミュージシャン編なんてのを読んでみたいです。
2021/08/21
Sam
何とも不吉(?)なことに「臨終図巻」が今年の初読み本になってしまった。去年の読み納め本にするはずだったのに後から読み始めた「黒牢城」に追い越されてしまったせいである。まあそれはいいとして、この「人間臨終図巻」、なぜ最後までこんなに面白いのか?人間はそもそもどんなふう死を迎えるのかという興味に加えて、「この人ってこんな死に方したのか!」という驚き、そして風太郎先生のときにシニカル、ときに優しい眼差しが魅力といったところだろうか。最後の登場は泉重千代さんでした。手元に置いてときどき読み返したくなる本。
2022/01/03
もりくに
77歳から121歳の泉重千代さんまでの「死にざま」の記録を、山田風太郎さんが批評を交えながらまとめたもの。70歳を過ぎた私には、すべて手本になるもの。長命にになるにしたがって当然だが、「大往生」が増えてくる。しかし、ほとんどが、男性なのが残念だ。印象に残った人、何人か。私の好きな俳優の志村喬さんは、つらい治療に耐えながら、仲の良い夫婦だったので、ずっと目で奥さんを追いながら、最後は手を取り合って、うなずきあったという。89歳で死んだ葛飾北斎の辞世の句。<ひと魂で ゆく気散じや 夏の原>
2018/08/17
マッキー
若年で死んだ人と比べて悲惨な死に方をしている人は少ないんだなという印象。ここまで人の死を並べられるとあらためて自分の「死」というものを考えざるを得ない。読み応えのある本だった。そして筒井康隆のあとがきもユーモアにあふれている。
2016/12/16
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