神去なあなあ日常 (徳間文庫)
神去なあなあ日常 (徳間文庫) / 感想・レビュー
ハイランド
著者の本は初読。これは林業小説というジャンル(?)らしい。読みやすいし、読後感も爽やか。林業というものを知るにも良い本。しかし主人公、なんでこんなにすんなり馴染めるの? 山村の閉鎖性と排他性、娯楽の無さ。それから運動部員でもあまりのしんどさに逃げ出したくなる肉体労働のハードさ。そんな実態を少しでも知っていると、悩まず村にとけ込む高校生っているの?もっと精神的葛藤があるんじゃないの? そういう気持ちに。タイトル通り「なあなあ」で読めばいいのだろうか。昔はこういう小説は児童小説や少年小説だった気がする。
2014/09/10
zero1
【人間到る処青山あり】仕事、青春小説だけでなく精神世界を描いた作品。高校卒業した勇気は携帯の電波も届かないド田舎で林業の見習いをすることに。最初は失敗ばかりで役に立たなく逃げ出そうとする。斜陽産業の人手不足と実態を笑いを交えて表現。山火事での活躍で「よそ者」から脱却できた勇気。直紀への恋あり祭りあり(取材は三重だが、祭は諏訪の御柱祭がモデル?)。仲間に助けられながら山村の生活に馴染んでいく。自然を恐れ、山と共に生きることを原始的と恥じる必要はない。映画化され、続きもあり。本屋大賞2010年4位。
2019/05/10
ヴェネツィア
高校を卒業したばかりの平野勇気18歳の手記の形式をとる。物語の場は三重県の最奥にある神去村である。林業を題材にした小説も珍しい。この村は林業しか産業がない。産業だけではなく、何にもない。そんなところで始まる勇気のビルドゥングスロマンである。大きな事件は何も起こらない。最大のイベントは48年に1度という神去の大祭である。実らないけれど、ロマンスも少しはある。一方、小説としてのリアリティは大いにある。そこに行くことはないだろうが、どこかにこんな世界があることを確かなものとして信じることができる。いい小説。
2024/05/10
れみ
最初、林業ってあまり馴染みがないというか良く分からないけどちゃんと読めるかなあと心配しましたが…いや、面白かったです。それぞれの職業にはそれぞれの奥深さとか魅力があるんだなあと改めて気付かされました。主人公の勇気が高校の先生や家族に勝手に就職先を決められ、あれよというまに横浜から三重の神去村へやってくる辺りは、ちょっと可笑しくて笑っちゃったな(^_^;)
2013/03/19
kk
神去の山の四季が美しく移ろっていく中、横浜出身のイマドキな男子が一人の人間として成長し、大切なものをつかみかけていく様が、優しい視線からユーモラスに描かれています。個人的に一番好きだったのは、みんなで犬を元気付けるエピソード。なんぼなんでも荒唐無稽かなとは思うけれど、この物語の中ではとても自然に語られています。山で働く者は犬でも誇りを持っている、なんて、ちょっとグッときちゃいますね。それにしても、三浦しをんさんって、なんでこんなにお話が巧いんだろうね。
2019/01/29
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