クロノス・ジョウンターの伝説 (徳間文庫 か 7-8)
クロノス・ジョウンターの伝説 (徳間文庫 か 7-8) / 感想・レビュー
chiru
時間SF連作集。この物語のタイムマシンには、変則的で致命的なリスクがある。それは『過去に滞在できる制限時間を経過すると、未来へ跳んでしまう』こと。好きな人の命を救うため、自己犠牲を繰り返した吹原の無償の愛がいちばん切ない。トライ&エラーを繰り返して、彼女を守りきった彼の運命に泣きたくなる。人をヒーローにするのは、強さではなく“その人の持つ純粋さ”だと思う、きっと。本作は『大切な人のいる、取り換えのきかない人生』と『孤独や未来に打ち勝つ、人間の強さ』のふたつの見方があったと思う。傑作!! ★4.5
2019/07/05
みかん🍊
科学SF小説というよりSFロマン、梶尾さんが手がけるとタイムスリップも愛です、愛する人を守るため、愛する人に会うため、還れるかどうか分からない遥か彼方へ行くかわからないリスクを背負って、一緒に居られないかもしれない、二度と会えないかもしれない、わずかな時間の為にクロノス・ジョウンターで時間を旅する、深い究極の愛です。過去で未来で登場人物たちがすれ違うのも楽しいです、解説を入れると650pを超える作品ですが一気に読めました。
2015/06/25
眠る山猫屋
そっか我妻善逸くんだったか。クロノスジョウンター・物質時間射出装置を巡る物語群。舞台は20世紀末、大切な人の為に無私そして不帰の旅に向かう人々。短時間過去に戻れるが、反動で未来に跳ばされるという副作用。映画化されたのは1話と3話のミックスかな。1話では吹原がデートの約束をした女性を救う為に過去に跳ぶ。上手くいかず二度三度と・・・。次第にずれてゆく時間律。後一歩届かない想い。次第に未来に流されていく吹原、助けてくれる人々もいなくなり、次に帰還するのは数千年先に。それでも吹原は跳ぶのだ、彼女の人生を救う為に。
2022/05/26
タルシル📖ヨムノスキー
2005年〝吹原和彦の軌跡〟を舞台化した、演劇集団キャラメルボックスの〝クロノス〟を観た。観終わった直後、吹原和彦の愛の深さに涙が出たのを今でもはっきり覚えている。今回読んでみて、他の人は何らかの成果を実感しているのに、吹原だけがやっぱり報われないことに、なんだかとても切なくなった。コレは4回も跳んだ罰なのか?過去にダイブした代償として、跳躍した時点より未来に引き戻されるという設定は、ハリウッド映画にありそうなご都合主義的な設定とは一味違うと感心。もし、クロノスがあったら自分はどの時代に跳躍するだろうか。
2020/05/23
鈴木拓
この小説を読み始めたとき、偶然にもキャラメルボックスの活動休止が発表されました。同劇団のクロノスの原作となる本作品は、時間を越えて移動できる装置を巡る話ですが、実は本当に大切な人のために何ができますか?と問う素敵な物語でした。
2019/06/02
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