人魚姫: 探偵グリムの手稿 (徳間文庫 き 31-1)
人魚姫: 探偵グリムの手稿 (徳間文庫 き 31-1) / 感想・レビュー
徒花
画家のグリムと少年アンデルセンが人魚姫に出会って王子様殺害の謎を追うファンタジーミステリー……かと思いきや、案外歴史ロマンスだったりする。よくよく考えればディズニーの『リトル・マーメイド』もお姉さんがいっぱいいたなぁなどと思いだしたり。ともかく、ちょっとどこかずれてる人魚のセレナのキャラクターがかわよい。ちなみにトリックは物理で、ちょっと懐かしい感じ。実現可能性を問答するのはナンセンス。ただし、それでも細かい分で甘いところがあるし、ハッピーエンドだけどちょっと物足りなさを感じる一作。
2016/02/17
koma-inu
メルヘン×本格ミステリ。童話「人魚姫」のお話後、王子が殺害される。グリム探偵、アンデルセンがワトソン役と、豪華な登場人物たち。童話と現実を股にかけた設定で、不可思議殺人が、特殊設定なのか、トリックなのか不明のまま話が進む。真相は、とってもバランスが取れた内容。恒例の説明図も登場、シンプルなトリックですが、今作の雰囲気に合ってました。童話との融合もうまくハマってます。バッドエンド気味ですが、グリムの粋な計らいでホッコリ終わらせたのも心地良しです。
2024/06/30
geshi
現実のヨーロッパ史とメルヘンとが同居する一風変わった世界観。人魚姫が魔女の力で地上に来ているのに、ミステリにファンタジー要素を入れず、事件の推理に関してはあくまでリアル路線。容疑者の動機を挙げ、アリバイを検証し、犯罪の不可能性をディスカッションするガチガチの本格志向。トリックはさすが物理の北川らしい大掛かりかつ伏線を張ったものではあるが、そこはあくまで前振り。本当の真相が明らかになる瞬間のファンタジーがリアルへと繋がるサプライズにやられた。ラストに語られるとある人物名に、そこへ持っていくかと感心。
2017/05/04
るぴん
北山猛邦さん初読み。人魚姫が海の泡となって消えた2日後、王子が何者かに殺害された。人魚姫の姉・セレナと偶然出会ったアンデルセン少年と旅の画家・グリムは、王子殺害事件の謎を追う。ファンタジーとミステリーと歴史が上手い具合に融合していて、面白い。最後に明かされるいくつかの真実は、童話の人魚姫と同様に切ないものだったけれど、物理トリックはしっかりと納得できるものだったし、こういう色んなジャンルのミックス作品、結構好きかも。
2018/10/11
しゅてふぁん
デンマークのオーデンセに住むハンス・アンデルセンがドイツ人の旅人で画家のグリムと、自分は人魚だというセレナと共に、王子殺害の真相を追う。これは面白いに違いない!と期待しながら読んだ。人魚姫ってどんな話だっけ?と童話を確認ながら(笑)『人魚姫』と絡めてあるので、殺人事件が解決しても、そこで話が終わらないところがよかった。面白かった!
2017/02/17
感想・レビューをもっと見る