義経号、北溟を疾る (徳間文庫 つ 2-27)
義経号、北溟を疾る (徳間文庫 つ 2-27) / 感想・レビュー
海猫
冒険小説のつもりで読んだら大枠はミステリーの要素が濃い。が、後半は乗り物活劇の楽しみが前に出てきて、スリルとサスペンスが楽しめる。ちょっと厚めの文庫本に詰め込んだ趣向が効いているし、終盤にかけて一気に伏線回収を鮮やかに決めるあたりはベテランの芸。着地も美しい。
2017/06/20
雪紫
斎藤一。現在は藤田五郎。次郎長の子分、法印大五郎とともに、黒田清隆の護衛で北海道へ。しかし、彼には兵の妻を酔った勢いで殺した疑いがあり、それを恨むもの達が復讐を決心していた・・・。黒田清隆のキャラが(彼は「大臣の殺人」のイメージ強かったし)結構豪快な人でカルチャーショック。冒険、歴史、仇討ち、ミステリ、貯めに貯めた要素を一気にクライマックスの列車で爆発させるので盛り上がる。辻さんの気合の入れ具合が凄い。
2021/11/29
マムみかん(*感想記入少なめです*)
明治14年。天皇の北海道行幸。 スケジュールの遅れから、お召し列車は初の夜間運転となった…。 という史実から創造された、「文明開化鉄道冒険活劇ミステリ」。 脚本もたくさん書かれているだけあって、とても映像的でわくわく読み進められました! 新時代、文明開化の陰でくすぶる不平不満。 こんな事件が起こるのも当然。 ただ殺人事件の犯人は、ちょっと身勝手かな。 藤田五郎(斎藤一)、清水次郎長の子分・法印大五郎コンビを始めとし、濃いキャラ揃いで楽しかった☆
2022/08/31
RASCAL
主人公は元新撰組の斎藤一こと藤田五郎。ミッションは薩摩閥の大物政治家・黒田清隆の黒いうわさの探索と明治天皇のお召列車の護衛。元新撰組三番隊長に付き従うのは次郎長配下の侠客・法印大五郎、命じるのは江戸城無血開城の立役者・勝海舟、明治天皇に供奉するのが山岡鉄舟という、歴史好きをワクワクさせるキャスト。酒乱で女狂いの黒田清隆の強姦殺人容疑と、その黒田の失脚を狙ったお召列車の妨害、二本立てでストーリーは展開するが、本質はやはりミステリではなく冒険活劇。藤田の妻・時尾からの手紙、余韻を残したエピローグがまた良い。
2017/12/07
ア・トイロッテ(マリポーサとも言う)(各短編の評価はコメントで)
★★★★ 8 分厚い物語だが、中盤から加速的に面白くなってくる傑作。本作の優れている点は主人公やアイヌ少女、真犯人の異常性などのキャラクターの良さと、さながら映画のようなアクション性であった。物語は目まぐるしく変化していくので目が離せない内容になっている。
2018/08/04
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