定本 バブリング創世記 (徳間文庫)
定本 バブリング創世記 (徳間文庫) / 感想・レビュー
セシルの夕陽
Kindlで。まぁー、ぶっ飛んでます(笑) 文庫化は1982年、そこから37年経った2019年に復刊した本帯には『奇書 復刊』とあるようです。さすが天才奇才、筒井康隆氏! SF、ミステリーホラーに加え、百人一首のパロディや言葉遊び、シナリオ、小説の枠を超えた作品と、バラエティに富んだ10話。そんな中に社会風刺も忍ばせてあり、とにかく驚きの連続作品でした! 中学生時代『家族百景』『七瀬ふたたび』をドラマと本でハマってたことを懐かしく…美しく初々しい多岐川裕美版です😅
2021/07/30
おにく
"バブリング創世記"は「シャバドビからシャバドビアが生まれ、シャバダが誕生…。」こんなやり取りが延々と続き、これらをリズミカルに読むと「シャバドビ♪シャバドビ♪シャバドビア♪」と脳内でリズムが奏でられるという。何か面白い事をしてやろうという作者の思惑が感じられます。また当時の社会を風刺した内容が多く、特に"死にかた"は、鬼が社内に入り込み、社員を一人ずつ血祭りにあげるという不条理モノですが、上司がこの状況下でも部下に責任をなすりつけるという、人間の本性、社会の理不尽さが感じられ、思わず唸らせられました。
2020/04/12
田氏
筒井康隆は、読み手をコケにした作品であればあるほど面白い。聖書をパロって音声と意味とを交錯させつつモーフィングしていく表題作。ジョルジュ・ペレックよりも先にアパートメントの断面のマトリックスを小説にした『上下左右』。ご存知ベラルゴしたロチャニを巡る『発明後のパターン』。こんなん立て続けに読まされたら、おれロレバコっちまうぜ。ツツイストからすれば、世の空気感をぶちこわすべく社会風刺の効いたSF作こそが真髄なのかもしれないが、私はアホなので、わかりやすくコケにされたほうが素直にアヘ顔で涎を垂らせられるのです。
2019/12/16
阿部義彦
若い頃の筒井康隆の破壊力はやはり、半端ないですね。どれも過去には読んだはずでしたが、復刻してくれた徳間文庫には感謝したいです。今回はとくに、「鍵」が素晴らしかったです。「夢の木坂分岐点」の源泉がこれだったのかな?とも思える出来でした。そして、エログロホラーの「三人娘」久々にイヤーな気分になりました。女の敵は女ですか。今の時代なら自粛するやばい言葉満載。ちぎっては投げ!という感じのバイタリティ溢れる筒井節を堪能しました。「上下左右」は文庫では初収録です。毒満載。
2020/02/01
やまねっと
筒井康隆は頭がおかしいのかと疑るくらい破天荒な小説を書く。もう普通の小説としての体はなしてないが、小説だから何でも良いのである。表題作なんかは読んでて読む気が失せるような内容で真面目には読めなかった。「三人娘」の神奈山課長のようなヒステリックなドタバタを書かせたら右を出るものはいないだろう。 「裏小倉」なんか初めは原典を載せてなかったらしい。それでも笑えるから当時の人の教養はすごいなと思った。 「上下左右」なんか常軌を逸している。 最近は書くことがないと言っているが、このことに関して最大の賛辞を送りたい。
2024/05/29
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