たゆたいエマノン (徳間文庫)
たゆたいエマノン (徳間文庫) / 感想・レビュー
眠る山猫屋
生物の記憶を継承し、子を生んだらその永劫とも云える記憶を受け渡すエマノン。読み手とて、だんだん辛くなってきた。誰かを記憶し続ける(覚えていく)ことの優しさは、記憶の担い手エマノンの辛さ。もしかして書き手さんもそうなのかな、ヒカリの存在の有り様はまさにエマノンへの慰め。もちろんヒカリの登場しない回にも優しさは切なさと共に溢れている。『さよならモイーズ』アフリカ奥地の内乱に震える類人猿研究施設での刹那の再会。優しき種族こそが生き残れない、そんな矛盾は人類だけではないのかもしれない。
2023/02/17
あき
ヒカリの存在により連作感がマシマシな珍しい構成。子供の頃に出会ったきれいなお姉さんが数十年後にその姿のままで現れるっていいね。これからも末永くエマノンを書き続けてください。
2020/09/03
まんたろう
地球に生命が誕生してからの記憶を引き継ぐエマノンを描くシリーズの最新刊。短編5篇収録。 時間と場所を跳び続けることで、終わりのない旅を続ける彼女に唯一寄り添える親友ヒカリとの交流を描いた作品が多い。 そのためほっこりする話が多いかなと思っていたんだけど、「ともなりブリザード」はじめ、逃れられないシステムとしてのエマノンが強く印象に残り、ちょっとしたホラー感があった。 最近『パラサイト・イヴ』読んだのも影響したと思う。
2020/09/12
Masuhiro Harada
この手のタイム人情ものとしては、やっぱり広瀬正の「マイナス・ゼロ」が一番だけどエマノンもその域に入ってきてる。 シリーズの統一感からすると、ヒカリはいらん子だけど、エマノンアトモスフェア(なにそれ)を抜きにした単なるストーリー要素なら秀逸な存在と思う。 エマノンもクロノスジョウンターも物語を駆動する装置を先に発明するカジシンメソッドの好例。銀英伝とか航空宇宙軍史とかの未来史ジャンルも、ストーリーを駆動するためのシステムが先にあって、その後に積みあがった作品群で成り立っていると思うと、作家って有能だね。
2024/03/02
ひょろ
エマノンとヒカリが交錯する。因果律はどうなっているのか。細かいことは置いておくがいい。 『さよならモイーズ』は悲しいしSFとして突きつけられる物語。
2023/07/26
感想・レビューをもっと見る