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雲上雲下 (徳間文庫)

雲上雲下 (徳間文庫)

雲上雲下 (徳間文庫)

作家
朝井まかて
出版社
徳間書店
発売日
2021-03-11
ISBN
9784198946319
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雲上雲下 (徳間文庫) / 感想・レビュー

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ふじさん

「民話を小説にするとは、これは破壊行為ではないのか。」この作者の言葉で、作家の創作の苦悩が分かる。作家が、民話等を題材にするということは、物語そのもの作り変えることを意味するから。作品の前半は、それでもよく知っているお伽噺が、生き生きとしたタッチで描かれており楽しめた。中盤、龍の子小太郎の登場で雰囲気が一変する。本来の朝井まかての作風に戻っていく。個人的には、子どもに恵まれなかった夫婦に授かった田螺の物語、「粒や」が面白かったし、龍の子小太郎の逸話もダイナミックで読み応え十分。結構難しく、読むの苦労した。

2023/07/05

のり

物語を聞かせる一本の草。一体何者であるのか?小狐と山姥に聞かせるお伽噺は懐かしさを感じる。「まかて」さん、上手だなぁ〜。おおよその骨格は残して、まかて流に描く。お伽噺の者達の活き活きとした姿が魅力的だ。一昔前にはどこの家庭にもあった子供への読み聞かせ。今は減っている傾向にある。しかも残酷な表現・汚い表現は殊更敬遠される。痛みを知らない・目を背ける子供達が増えるのは必然だ。You Tubeばかりに頼ってはいけない。この一冊は警鐘してくれる。

2021/06/18

sin

昔ばなしの息吹きを感じられる小説に出会った。この一冊の中にお伽噺という世界観は共通するが別々の世界に存在する住人たちが共存している。昔語りのままに綴られたモノや、物語としての完成度を高められたモノまでが…そして、どの物語も懐かしく心を暖める。だがしかし、やがてその世界の終末が語られていく…語られることの無い話は最早存在しない。言い換えれば読まれなくなった本はそこに存在するだけで実質は無いに等しいと云うことだろうか?僕たちは読み繋いでいかなくてはならない。君たちの明日の為に…。

2021/06/14

優希

懐かしさを感じさせる作品でした。幼い頃に添い寝してもらいながら聞く物語とでもいいでしょうか。ふわりとしたあたたかさも感じます。

2021/04/25

dr2006

「昔むかしある所に…」は想像の世界へのスイッチだ。幼い頃に聞き馴染んだ昔話が大人の読み物として昇華される。作者は昔話の喪失を憂いでいる。ネットの情報は純粋な想像力を阻害する。執拗なプッシュにPR、昔話の様に訓戒が含まれる話は疎まれ、聞きたがるのは都合の良い話ばかりだ。昔話の中の者たちの抱く希望や優しさ、逆に心の弱さや醜さ、逃れられない運命と怖さや惨さ、そして結末の先を想像することは心の豊かさを築くのだ。この物語を通し雲上の存在を具現化しているのは雲下の人であることに気付くだろう。とても良い作品に出逢った。

2022/07/08

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