一橋桐子(76)の犯罪日記 (徳間文庫)
一橋桐子(76)の犯罪日記 (徳間文庫) / 感想・レビュー
ミカママ
ひ香さんらしい、世相を絡め問題を提起しながらも、読みやすい内容。何やらきな臭いタイトルだが、身寄りも貯金もない(果てはパート先にも切られて収入も閉ざされ)76歳の桐子さん。刑務所に入れば諸々の問題は解決するはず…と他人様に迷惑のかからない(これが案外難しい)犯罪を考えるが…。腑に落ちない部分も多いし、何より落とし所がデキスギではあるが、安定した収入さえない若者も増えている今、これからはこういう事情はさらに増えていくのでは。考えさせられることが多い作品だった。
2023/02/08
ノンケ女医長
「結局のところ、あんたはどちらを望んでいるんですか。仕事か刑務所か」と問われ、絞り出すように答える76歳の桐子さん。「ちょっと疲れてしまって」の言葉は、とても重たい。ずっと、将来を案じながら働きづめ。頼れる家族も、もういない。すべきことを誰かに決めてもらって安心したい、という素直な気持ちに、共感する人はたくさんいるのかも。桐子さんの純朴なお人柄に、慕う人が続々と現れる展開が心地良かった。健康への不安にあまり触れられておらず、高齢者の現実的な苦境に若干の淡さが感じられる点は、残念。
2023/08/10
読書のーと
老後の不安を解消するべく、刑務所に入ることを望んでいる、一橋桐子76歳の物語。 人生100年時代と言われているが、桐子のように一人暮らしで貯金もなく、パート勤務、頼れる身内も居ない…となると、長生きするのも良いことばかりではないのかもしれないと、つい考えてしまう。 その結論が、刑務所に入るという思考になってしまったのは、あまりにも極論的過ぎるとは思うが…💦 「遠くの身内より近くの他人」という言葉があるように、桐子に手を差し伸べてくれたのも、最後は他人であるはずの人達。 人との繋がりは、何歳になっても大切✨
2023/09/04
*すずらん*
刑務所に入りたいからと再犯を犯す高齢者の問題は、ニュースで見かけたことがある。社会で暮らすことよりも刑事施設で暮らすことを選択する背景には、どんな理由が横たわっているのか?単身の高齢者に降り掛かる様々な問題が本書には挙げられていたが、やはり「孤立」これが一番厄介なもの。特に歳を取ってからの孤独といった感情は、全ての物事に対しての気力を奪ってしまう。幸いにも主人公は小さな事柄から繋がった人達に助けられながら、何とか生活を続けていく。明るくなくても良い。明日が来ることに絶望しない毎日を送ってもらいたいと思った
2024/02/20
ma-bo
観てはいませんが、ドラマにもなっていましたね。一緒に暮らしていた親友がなくなり、一人になった桐子さん(76歳)。身寄りもない、貯金もない。犯罪を犯して刑務所に入れば楽にくらせるだろうと思って、色々と考えたり行動したりするが‥‥。桐子さんの人柄に惹かれ手をさしのべてくれる人たち。随所に笑えるような明るいタッチで描かれているけど、現在の高齢者が直面する問題が示唆されていました。
2023/03/03
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