天涯行き (キャラ文庫)
天涯行き (キャラ文庫) / 感想・レビュー
からくち
最後まで緊張しながら読みました。この仄暗さ、好きです。受けの抱えているものが大きすぎるので、それを受け止める攻めもこれくらいの過去がないと理解しあえないのかなとも思ったのですが…二人ともこうだとズシリときますね。終盤の想いを確かめ合うシーンが印象的でした。 義兄は最低ですが、それよりも義父と実母に怒りが。受けの義父と義兄、攻めの義兄に何らかの制裁があればいいのにと思いつつ、それをしないのが凪良さんだなと思いました。そういうところがリアルで好きです。
2013/03/11
Kaoru
『お菓子の家』同様、二人の出会いが出来すぎでメロドラマチック。遠召が兄に絶対服従の心理状態に追い詰められる過程は描かれていたものの、説得力にかけた。遠召が兄と対峙する場面は、兄の泣き叫んだり子供じみた言動でうやむやに終わってしまった感じがする。同様に高知が姉の夫と対峙する場面で、ポケットからナイフではなく指輪を出して、愛について語るのも物足りなさを感じた。高知が刑務所に入ってからの3年半、遠く離れて暮らす寂しさや、離れているからこそお互いの気持ちが強く結びつけられていく姿がとても切なく感動的だった
2013/08/03
miyu
まいった。すごくよかった。ところどころ解れがあって完璧な筋書きでもないのに作者の勢い「こういうこと書きたい」「こんなこと伝えたい」という熱烈な想いを感じ、あとはもう何も考えられず読み切った。生い立ち(周囲の大人の無責任さ自覚のなさ)が招いたことながら、遠召は自ら望んで地の底を這う生き方をしている。生きていながら生きていない。そんな彼が高知という存在によって初めて目を覚まし、高知を知れば知るほど自分自身を見つめ直す。傷ついた人を真の意味で救うのはやはり傷ついた人でしかない。そんないつもの凪良節が光る。好き。
2018/05/27
みずほ
小説★★★★☆ 挿絵★★★★☆ 児童性的虐待による共依存のトラウマ持ちの受と、殺人未遂で逃亡中の攻・・・なかなか救いの見えない重い内容で、久々に黒凪良降臨!だった。世の中は理不尽に満ちていて、加害者がのうのうと生き、本当の被害者が加害者扱いされて不幸になるのは珍しいことではない。やりきれなさは残るけれど、無理に大団円にしなかったのも凪良さんの上手さなのだろう。諸手をあげてのハピエンではないが、結生とエリが愛する人(帰る場所)を見つけたことは救い。それだけに、これからの二人に幸多かれと祈らずにはいられない
2012/09/14
このん
兄に性的関係を強要されて大人になった遠召と、姉の夫を刺して逃げてきた英利のお話。遠召は兄の言葉から逃れられずに、今の住まいに住み続ける。英利は義兄を刺して逃亡中で、お互いが何かに逃げながら生きてる。知り合って一緒に住む様になるが愛は無いままに身体繋げて生きている。いつしか惹かれあう様になるが、自分で完結しなければいけない事がある。何とも、救われない様なお話だがきちんと…解決方向に向かう。一緒に幸せに暮らすお話も読みたかった。(3072)
2012/07/17
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