ぱらいそ(書籍扱いコミックス)
ぱらいそ(書籍扱いコミックス) / 感想・レビュー
ままこ
長崎の原爆をモチーフに描かれたファンタジー。過去のお話のようで、そうでもない感じ。教会で絵を習っている少女の視点で話は進む。今日マチ子さんのサラッとした優しい絵柄から、胸をざわつかせるヒリヒリ感が伝わってくる。理不尽さと憤り。白と黒と灰色。心の闇の象徴だった、悪の右手は…。やるせないけどラストに救いはあった。
2024/08/02
ピロ麻呂
cocoonに引き続き読了。帯の通り「少女×戦争×ファンタジー」で、詩的な文章により戦争の悲惨さを訴える。夢か現か…漠然としているけど救われる最後。もし、自分たちが戦争に巻き込まれ、死を身近に感じながら生きていくとしたら?…とても考えさせられる作品でした。
2019/09/27
陽@宇宙望遠鏡⭐︎星と宇宙とロケットが好き
「夜が白いわ」「白って実際のところ色がにごるでしょ」「何もきこえないわ」私の右手は何を信じていたんだろう。少女期から脱却することへの抗い。白と黒。両極端の抵抗。ガラスの香水瓶の手榴弾で、少女の毒を、香りを拡散して、セカイを甘くフランベしていく。燃えつくせと。失うことで得られるもの。「ときどき、君も握り返して」
2015/12/12
マツユキ
教会で絵を学ぶ少年少女の物語。似た絵を描く双子の少年少女、右手が盗みを働く少女、半島出身で体を売って生きる少女。ナガサキに原爆が落とされたあの時代なんだけど、いつの時代でもあるような気がします。原爆後の世界での二人の振る舞いは悪なんだけど、妙に輝いて見えて、判断に困る。罪を犯しながら、生きる、また繰り返してしまうかもしれない=戦争というのも違うかなと思いつつ、これからも生きていく少女の姿が印象に残りました。
2023/08/11
marmelo
白くあらねばと願いながら、身内に黒を秘めていることを自覚しているユーカリ。寺山修司は「自分の息子のために命がけでやる母親というのは、他人の息子のためには命がけでやらないということと裏腹になっている」と言ったが、まさに人間には自分を賭けて生きようとする時、綺麗事を言っていられない場合がある。自然界の動物は日々生存競争を繰り広げており、人間もまた自分の中でまたは社会との関係の中で、善と悪の折り合いをつけて生きざるをえないことの苦しみと戦って生きる動物。正しく生きようとする人ほど苦しみ悩んで、強く、寛容になる。
2017/02/17
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