アノネ、(上)
アノネ、(上) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
今日マチ子が『アンネの日記』を題材にした漫画だと知り手に取る。沖縄戦を扱った『cocoon』が素晴らしかったので期待して読む。これはまた『cocoon』とは違った味わい。アンネ・フランクに相当する少女の名は花子。女優と作家を目指す天真爛漫な、東方系と呼ばれる民族(ユダヤ人)の少女である。新制帝国(ナチスドイツ)に迫害され、一家で父親の会社の隠し部屋に移住する。花子の成長と、幻の様に現れるヒトラーを模した少年の物語。見つかった花子一家が強制連行される所で上巻は終わる。切なくなる部分が随所にある。
2015/10/16
Porco
ナチスによるホロコーストを、世界をちょっとズラして描いた漫画。読んでいて辛い。主人公がアッケラカンとしていて、ますます辛い。作者が駆使する象徴的なモノがあまり理解できなくて、誰かに解説して欲しいところではありますが、すごい漫画であることは疑いない。
2017/12/13
ハイポ
■時間と空間、夢と現実が複雑に交差。安易な解釈を拒絶する表現。故にまとまった感想が書けない。■現実と白昼夢と夢。白昼夢と夢において、花子と太郎の二人は共鳴する。ときどき現実と白昼夢と夢の間で染み出しが起こる。その染み出しに希望と絶望がある。■史実になっていない未来は運命的なものではなく、可能的なもの。史実をもとにしてそれを語る。■あのね、という呼びかけの言葉。運命的なものからの呼び声を聞き、悲劇的な運命を回避して可能的な世界に移る。そこでは二人とも白昼夢に留まらず生きていくことができるだろうか。
2022/08/16
ささやか@ケチャップマン
アンネの日記になぞらえて作られた漫画。アンネに相当する花子とヒトラーに相当する太郎は、ファンタジーな箱の中でのみ出会う。それがどういう意味を持ちえるのかはまだ不明。もしくは私にはわからない。上巻は花子ら一家が隠れ家から見つかり収容所に収容されるところまで。まだ明るい花子だがだからこそ下巻が不穏当な予感。
2016/10/22
ぐら
アンネとヒトラーを題材にした作品。アンネ(花子)とヒトラー(太郎)の現実世界が進むのと同時に、二人は夢や空想などの物語の世界で出会う。その小さな二人の世界は角砂糖のようで、いつか消えてなくなってしまうことを暗示しているよう。角砂糖が溶けていくのと同時に、花子と太郎は自分自身を生きることができなくなる。花子は現実世界にいながら夢見る代わりに、物語の世界では言葉を失い物語を紡げなくなる。太郎は暴力的で破壊的な一人の自分に全てを乗っ取られていく。そして二人の世界、物語は悲劇へと進んでいく。
2014/10/26
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