アノネ、(下)巻 (書籍扱いコミックス)
アノネ、(下)巻 (書籍扱いコミックス) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
今日マチ子版アンネ・フランク物語下巻。今日マチ子版ヒトラー伝でもある。『cocoon』に比べると幻想的で隠喩的描写も多くわかりづらい面もあるが、ト書き無しでこんな歴史的世界が描ける事にまず感嘆。強制収容所でも天真爛漫な花子(アンネ)。直属の長は女優・麗子。麗子の有能振りよりも花子の姉・真子の存在が印象的だ。小さい頃から妹の様に愛されず育った不美人の姉の切なさ。そんな姉を失った後の花子の存在の軽さ。太郎(ヒトラー)の経て来た悲しみ。この漫画はそのわかりづらさも含め、再読三読するに値すると思う。
2015/10/16
マツユキ
花子が、あのね…と日記を書くと、太郎のいる白い部屋に閉じ込められ…。アンネとヒトラーが題材なのですが、現代に近い舞台設定、戦争が終わったら女優になりたい美人の少女と、画家になる道を親に反対されている少年。世界の主人公になりたかった?実話が題材になっている事を思うと納得できない部分もあるけれど、いつでも明るく、無邪気で、可憐な花子でいなくてはいけなかったヒロインを思うと悲しくなる。太郎は別の道を選べたのかな。この作品を理解している自身はないけど、すごいものを読んだなと、思いました。
2023/08/12
らむれ
飴玉は「宝石から永遠を引いたもの。口に入れると確かに心を満たすのに、何も語ることがない」―永遠の少女ではいられない。誰か少女を愛する人がいてこそ、少女は少女でいられる。姉あってのヒロインだと、姉の愛に気づき、すべての現実が見えた時、アンネの頬はこけ、チフスに侵されてしまう。私自身、誰かに愛によって(この歳でも)少女らしく、天真爛漫に生きているのだと実感。テーマはホロコーストですが、私を少女にしてくれてる家族や友人、恋人への感謝を訴えている作品だと思いました。
2015/02/03
ぐら
こっちには感想を。一読しただけでは理解できなくて読み返してなんとなくわかったような。あまりにもヒトラーとアンネについての知識が自分にはなくて、ちゃんと知りたいと思った。戦争というのは本来の自分を切り離して考えることをやめてしまったときに加速してしまうのかな。収容所のこともしっかりと書かれていて、現実と空想のギャップがより強まり、逃げ出したくなる現実の過酷さが伝わった気がした。
2014/10/26
jamko
アンネとヒトラーをモデルにした花子と太郎の夢の中の恋、そして現実のホロコーストを重ね合わせて描くファンタジー。上巻は同居の少年との恋やジャムのエピソードなどかなり『アンネの日記』に沿った物語で、収容所に入れられてからの下巻はほぼ著者のオリジナルであると思うが、本当にアンネとマルゴーはこんな収容所生活を送ってたんじゃないかと思うくらい日記と地続きなリアリティがあった。お姉ちゃんの存在と不在に、ほんと泣けた。
2015/11/03
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