マインド: 心の哲学
マインド: 心の哲学 / 感想・レビュー
evifrei
心の哲学の概説書的な書籍。心脳問題や自由意思など、心に関連する哲学的事項を歴史的発展をなぞりながら叙述する。サールはその有名さから引用される事も多く(『中国語の部屋』など)、本著で初めて知るところとなった概念は残念ながら殆ど無かったのだが、一つ一つの論点を丹念に扱う筆遣いから心の哲学の全体像を把握するのには適した一冊だと感じた。物理学や心理学などの知見も含まれているので裾野は広い。映像を見て著者の説明を受けているかの様な解りやすい文体で展開されており、個人的には特に自由意思についての記述が興味深く読めた。
2020/07/12
またの名
ベートーベンの第九を空気中の波の運動に還元したところで取り逃がしてしまうものを捉えるには、現象のミクロな次元ではなく表面的な性質を語る必要があるように、意識においては私にとって現れる見かけの一人称性が重要というのが本書の核の主張。同じ現象を神経細胞レベルと意識システムのレベルのどちらで見ているかの違いなので、著者からすれば心と体を対立とも同一とも語ることはできない。心の領域と物理の領域をデカルトが二元論的に分割して以来、この区別に則っているままでは心身問題は解けない、と断じる。自説も他説もサール流に整理。
2017/07/13
meg
確かに哲学書としては入門的なのかも。私には歯が立たなかったけれども。難しい言葉ではないが、やはり哲学は難易度。でも著者が冒頭で述べたように、“考えるきっかけ“には触れられた。もっと勉強するぞ!
2024/01/25
ken
これまで心の哲学がどのように議論されてきたかを概括できる良書。デカルト以降の二元論の問題点、近年勢いをつけてきた物理主義の問題点それぞれを説明し、そこにサール自信の見解や反駁を加える。構成がすっきりしていて入門書として優れている(翻訳のたどたどしさはあるものの)。そこまでは良いとして、いざサールの「生物学的自然主義」の説明になると、分かるような分からないような。「二元論も物理主義も捨てなければならない」とサールは言うが、彼の主張は性質二元論と根本的に何が違うのか→
2020/02/14
zirou1984
心の哲学の入門書にしてサールの代表的著作。デカルトから始まる心身二元論の系譜とその問題点を整理しつつ、心というものが哲学上どのように扱われてきたのかが把握できるようになっている。また語彙も平易であり、翻訳もこなれているため入門書としては十分な出来。が、肝心のサールの主張がどうにも飲み込めず、有名な「中国人の部屋」にしても志向性の話にしても、いまいち自分の中では消化しきれない。個人的な感覚としては、ダニエル・C・デネットが『解明される意識』で述べている「意識の多元草稿モデル」の方がまだ納得できたのだが。
2012/12/29
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