緑色のうさぎの話
緑色のうさぎの話 / 感想・レビュー
しんごろ
たった一匹だけ緑のうさぎ。うさぎの仲間にバカにされ、そう、それは“みにくいアヒルの子”のようにね。その馬鹿にされた理由が、これまたなんとも…。仲良くなって良かったね。たげど、まさに好事魔多し。なんとも切ない。緑のうさぎの優しさが際立ってるから、余計に哀しいね。緑のうさぎが思い出と手を繋いで暮らす姿がなんとも寂しく、儚さを感じる。油断すると涙がこぼれてしまう。愛しさと切なさのある物語だった。
2021/10/12
匠
絵は違うが、話は著者が17歳の頃に書いた作品なのだそうだ。帯で先にそれを知ってしまって読んだから、17歳なりの救いようのない苦悩や集団からの孤立感、底から引き上げられてもまだその先が見えない不安感をより一層感じていたたまれなかった。それでも深いなと唸ったのは、多くのうさぎ達は同じ色同士で集団であるが、唯一緑色のうさぎは自分を含めた「うさぎ達が住む世界の色」と同じ色であるということ。果たしてどっちがマイノリティだったのか考えさせられるのが哲学的。せつなく悲しい話だが強さの意味が感じ取れて、とても良かった。
2014/10/28
紫 綺
道尾さんが高校生時代に温めていたお話・・・画才の無いのをポロっとこぼしたことから、出版が実現した素晴らしい絵本。マイノリティの寂しさをはじめ、いろいろ考えさせられる要素が、上手に盛り込まれている。繊細な絵がとても合っている♪
2015/07/05
ダリヤ
青山ブックセンターで原画展をしていて、そのときについ立ち読みをしてしまいました。とおいくにのはなしは、うさぎさんにたとえられていますが、わたしたちにんげんがくりかえしていることそのもの。しあわせなひびと、いっしゅんでまいおりてくる絶望。いつか、いつか、そのれんさがたちきれることをねがうばかり。みどりいろのうさぎさんがまいにちまいにちなかまをおもいつんでいく花に、ちいさなきぼうがあるのかもしれない。
2014/07/06
greenish 🌿
うさぎがたくさんいました。でもそのうさぎだけばかにされていました。みどりいろだったからです・・・。道尾秀介氏が17歳の時に描いた物語に、映像作家・半崎信朗氏が挿画を描き下ろす ---生きていれば、どうしたって自分と他人を比較し、どうしたって目を覆ったり、耳を塞ぎたくなることもある。でもそうして生きていれば、一輪の花の美しさや一筋の光の眩さが尊いものに思えてくる・・・。17歳、多感な青年期の道尾さんが紡ぐ鋭利な刃物のような言葉に、ふんわりとした半崎さんの絵。切なさと愛しさ、残酷さと温かさの共存した一冊です。
2014/10/13
感想・レビューをもっと見る