答えは風のなか
答えは風のなか / 感想・レビュー
starbro
重松 清は、永年に渡って新作をコンスタントに読んでいる作家です。本書は、重松清×ミロコマチコ、コラボ短編集です。いつもの ミロコマチコの絵の激しさはありませんが、重松清の文章と相まって好い味を出しています。児童書(小学校高学年以上)ですが、大人も楽しめます。オススメは、『いいヤツ』&『タケオの遠回り』&『あきらめ、禁止。』です。 https://www.asahipress.com/bookdetail_norm/9784255012650/
2022/01/16
タイ子
人生、全て1+1=2ですめばいい。いや、全てがそうならないところが面白いのだ。そして、答えは出ない。10の短編からなる物語はいろんななぜ?を問い掛けてくる。もちろん、そこには答えはない。小学生が主人公でいろんななぜにぶつかりながら自分なりの答えを出していく。同じ質問を自分がされたらどう答えるだろう?「いいヤツ」ってどういうヤツ?人が年を取るって、認知症になった人は幸せなの?私の中でこの「しあわせ」が一番心に響いた。ミロコマチコさんの絵が物語をより素敵に見せてくれる。前作の「きみの町で」も読まないと。
2022/04/27
Ikutan
ミロコマチコさんの絵とともに、様々な感情をぎゅっと詰め込んだ八つの小さな物語。ルビ付きで小学生でも読める内容ですが、大人でも色々考えさせられる内容になっています。例えば、『頼まれる』と『頼られる』と『頼りにされる』の違いは?とか、動物園のシマウマって幸せなのか?とか。また、大人たち社会の理不尽な差別や抱えている問題を、子どもの視点で描くことで、より身近な問題として、鋭く私たちに投げかけてくれています。そしてコロナ禍の子どもたちへの優しい視線。心の中のモヤモヤに優しく寄り添う重松さんらしい一冊でした。
2022/01/05
ぶんこ
子どもたちの切ない思いが短編となって次々と紹介されて「答えは風のなか」とあるとおり、読者に考えてもらう形になっていました。どれも「あるある」なのですが、特に「ケンタの背中」が良かったです。優しかった母が亡くなり、新しいお母さんと弟もできました。カンの強いケンタ君はキレると手がつけられず、なだめることができるのは亡くなったお母さんだけ。弟に腹をたてても我慢のケンタ君。我慢の仕方が切なすぎる。それを知った新しいお母さん。写真のお母さんからの言葉に従いケンタ君を抱きしめて背中をさすってあげました。良かった。。
2022/03/04
sayuri
「いいヤツ」「おばあちゃんのメモ」「ふるさとツアー」「ぼくらのマスクの夏」「しあわせ」「いちばんきれいな空」「ケンタの背中」「おねえさんが教えてくれた」「タケオの遠回り」「あきらめ、禁止。」10話収録の短編集で、読者に問いかける作品。クラスメイトから利用される少年、命の優先順位、男尊女卑と差別、隣国との関係など、日常的な物から世界レベルまで、皆の心の中にあるモヤモヤが描かれる。『あきらめ、禁止。』では教育実習時にお世話になった先生と子供達を思い出し胸が一杯。上辺で判断せず本質を見る事。忘れない様にしたい。
2021/12/28
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