対訳 21世紀に生きる君たちへ
対訳 21世紀に生きる君たちへ / 感想・レビュー
やすらぎ
君たちだけが持っている大きなものがある。未来である。私の人生は残り少ない。21世紀を見ることはできない。君たちは違う。輝かしい担い手である。未来は予測できないが言えることはある。昔も今も変わらない自然こそ普遍の価値なのである。私たちは自然によって生かされている。20世紀は自然への恐れが薄くなった。自然に対して威張った時代は、21世紀には終わるに違いない。人間は助け合って生きているのである。いたわり、やさしさ。頼もしい君たちへ。自分に厳しく相手に優しく、訓練し、自己中心ではない自己が確立されていくのである。
2019/05/19
さと
洪庵から引き継がれた松明の火を、彼はこうして未来の弟子たちに心の灯として分け伝えている。人は自然に生かされているという事、自己を確立し21世紀のかじ取りをする必要がある事、他者へのいたわりを己の心に根付かせること、そう訓練すること。21世紀を生きる若者たちへ綴られた希望と期待である。激動の20世紀を生きた彼のメッセージは優しくも深い。
2015/07/30
モリー
司馬遼太郎さんが、「21世紀に生きる君たちへ」と題して小学生に向けて書き残したメッセージです。「両親を愛するようにして、歴史を愛している」とおっしゃる著者が「歴史から学んだ人間の生き方の基本的なことども」を易しく語ります。「自然こそ不変の価値」であり、「社会とは支え合う仕組み」であると、当然のことが語られています。しかし、私たちがこのことを本当に大切にして生きているかとと問われれば、簡単に頷くことは出来ないかもしれません。大いなる存在に生かされていることを忘れ、自然に対して不遜な態度をとってはいないか。↓
2020/02/03
yomineko
お昼休みに読破📚流石、司馬遼太郎大先生。言葉に無駄が一切ない。それなのに分かりやすい。2015年現在で21刷も版を重ねているのには訳がある!英訳も付いていて音読に最適。平易な文章と単語を使っていてこちらも素晴らしい。緒方洪庵先生の私利私欲に一切まみれず人を助ける事に徹した生き方が好きです。
2022/05/02
かのこ
参加できなかった読書会の課題本。歴史小説の大家・司馬遼太郎さんが小学生を意識して書いたエッセイ。子供向けだけど、良い意味でいつもの司馬遼太郎らしさに溢れた文章。司馬先生の文章って本当に読みやすい。簡潔で的確な言葉で、温かい目線で、歴史の面白さ・子供達がもつ未来の素晴らしさ・未来を生きる子供達へ伝えたい事が書かれていて、読後非常に爽やかな気持ちになる。軽い言葉になっちゃうけど、21世紀の今を生きていられるってこんなにもhappyなことなんだなと!“たのもしき”人揃いの司馬作品の登場人物達に会いたくもなった。
2017/04/02
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