日本の無思想
日本の無思想 / 感想・レビュー
Yasomi Mori
数多く指摘されてきたように、日本人は無宗教ではない。他方で日本人は無思想であり、そうであらざるを得ない思想風土を生きている。日本的思考とされるホンネとタテマエという発想は、じつは戦後になって登場した新しい概念。その複雑さは、ホンネが「本当のこと」ではないところにあり、前言撤回を恥じぬ政治家の「失言」問題はこの観点から読み解ける。/キリスト教的な「創唱宗教」と教祖不在の「自然宗教」(阿満利麿)に宗教を区別することで、日本人の「信仰心」の希薄さや、内面の崇高だけを“真の”信仰と捉える宗教観の起源が見えてくる。
2015/11/07
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