私小説のすすめ
私小説のすすめ / 感想・レビュー
パトラッシュ
近代文学史における私小説の位置付けについてはいろいろ議論されているが、読者からすれば小説として優れているか否かが重要だと思う。著者は小林秀雄や中村光夫の私小説論を否定し、作家が小説を書くにあたって自分の辛酸や自己嫌悪に満ちた経験を赤裸々に描く覚悟の表れとしての私小説こそ文学的な意義があると多くの実作例を引いて断言する。納得できる話だが、そうなると優れた私小説(自伝的小説)はどこまで虚構を加えるかや小説としての文章の完成度が問題になるのでは。才能がなくても私小説は書けるとする著者の主張の、そこが問題だろう。
2020/04/26
ヴァン
古本で買った本だが、面白かった。著者は田山花袋の『蒲団』をとりあげながら、私小説論を展開する。『蒲団』を批判した中村光夫が今はもう読まれてないのに『蒲団』のほうは読まれ続けていることをもって、日本文学に滔々と流れる自己暴露型の文学のかたちを論証する。漱石や川端もチラチラと出てくるので、読んで楽しめる小説案内を兼ねた日本文学論になっている。
2021/05/31
kenitirokikuti
図書館にて。笙野頼子の純文学論争からたどって手に取った。なんとなく私小説は良くないというムードがあるけれど、そういう論調がなんとなく残留してるだけのようだ。内向の世代非難みたく、もっと立派なテーマを選ぶべきみたいな。あとは、私小説に限らないが、プライバシー問題。
2021/02/16
わなだいアスペ
うずまいている。
2015/12/13
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