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文字答問

文字答問

文字答問

作家
白川静
出版社
平凡社
発売日
2020-06-01
ISBN
9784256983430
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文字答問 / 感想・レビュー

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かりんとー

(図書館)難しいところもありますが、目から鱗満載です。「臭い」という字。本当は「自」+「犬」の形が正しいらしい。字の意味は、「自」=「鼻」と「犬」を合わせたもの。嗅覚の鋭い犬を表したもの。しかし戦後文字改革で「犬」が「大」になってしまった。それで、意味が全然わからなくなってしまったらしい。なるほど。

2020/12/08

Hatann

白川静が最晩年に書き留めた連作『桂東雑記』の最終章『文字問答』を取り纏めたもの。読者の質問への回答から、白川静の方法論が浮かびあがる。万葉集への興味から古代中国に遡及していった探究者の奥底には、日本と中国とのあいだの相似又は相違への問いかけがある。「菊」には音読のみであり訓読がないが、外来のものを示す言葉がそのまま国語化されることの一例である。天皇家の紋章として外来のものが選ばれたことに、相似を見るか、相違を見るか。「東洋」についても、対偶を重視する日本と、中心を重視する中国とでは、意味が異なっている。

2024/01/06

roughfractus02

『桂東雑記』I〜Ⅳでの読者の漢字の疑問に答えた「答問」部分を合わせた本書は、禅等の「問答」でなく、漢学の「答問」を表題とする。「井」と「丼」の違いや「犬」と「大」の違いが使われるうちに混交していく様を辿る著者は(刑罰の首枷の形に由来する「井」と井戸を表す「丼」になり、「犬」の「鼻」を表す「臭」の下の「犬」が人が両手を広げる「大」になった例)、短期スパンの読者の時空概念を長期スパンに変える。この時空で学問を見ると、「問」と「答」が因果的に結びつく以前に「答」が「問」を呼び寄せる直観の場面があることに気づく。

2020/12/31

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