ライトジーンの遺産 (ソノラマ文庫 か 9-2)
ライトジーンの遺産 (ソノラマ文庫 か 9-2) / 感想・レビュー
ゆーいちろー
小説というものが物語性重視になって、深刻なテーマも上手に物語にのせて語られる最近の小説群とは、神林長平の作品はやはり異質なのだろうなと感じる。主人公の一人称による生硬な思索的科白は、もう滅んでしまった私小説の登場人物の呟きに近い気がする。一番おもしろいと感じたのは「エグザントスの骨」。生と死というテーマ、そして自らを人生の敗残者となした者への主人公の視線が、一番ハードボイルドしている。思えば、ショーペンハウエルなどを読むまでもなく(まあ、読んだことはないのであるが…)人生とは何かは小説から学んできたのだ。
2012/10/16
Sakuran
再読だが面白い。神林作品らしい主人公のコウの思索や台詞が好き。人間の臓器が謎の崩壊を起こすようになった世界で人工臓器に頼るようになり、それを扱うメーカが起こすトラブルをコウが調査していく短編集。コウ自身がかつての人工臓器の最大手メーカーライトジーン社の人造人間。腕、目、皮膚、心臓、骨、声(声帯)などを人工とした人間の問題を通して、それぞれの器官の機能以上の意味も考えさせられる。
2023/03/11
深海魚
SFハードボイルド連作中短編集。序盤はいまいちかと思ったが、徐々に良くなってきた。「セシルの眼」「エグザントスの骨」「ザインの卵」あたりが好き。全体的にちょっと長かった。
2021/05/30
pi_nika
90年代SF。もし生体科学が進んだ未来に人間の臓器が寿命よりも早く朽ちたならば?という世界で7つの中編から成り立つ。アイディアは良かった気がしますが、目的や高揚がある話を求める人には向かないです。 各編の長さが1冊にまとめるには中途半端で、SSというにはキレがなく、長編としては各々の繋がりが薄い。最後の編にオチがなければ読んだことを後悔しそうだった。内容が、サスペンスではなく、世界系には弱く、キャラ小説でもないまどろっこしさ。
2012/06/09
宇宙猫
★★★★★
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