大島弓子選集 (第12巻) 夏の夜の獏
大島弓子選集 (第12巻) 夏の夜の獏 / 感想・レビュー
ねこさん
大島弓子を思い出す時、なぜか俯瞰した草原、原っぱに風が吹いている。そして春から夏に変わる時、誰かが何かを失いかけている。世界は無縁とはいえない気まぐれな無慈悲さで広がっていて、でもそんなことは結局のところそれぞれの自分だけの問題なのだ。大島弓子の漫画の中には、大島弓子の漫画がちゃんとあるんだろうか。始まりもせずに終わる恋のようにどこかの誰かが何かを失って、どうしようもない傲慢さでそれを背負っている切実さが、原っぱの世界に溶けて広がっていく。そうやって猫の鼓動のような小さな祈りと悲しみも、全部弔われている。
2018/07/13
まみ
実年齢ではなく精神年齢で登場人物の姿を描いた表題作がとても好き。とくにラスト、30歳の姿をした主人公が最後おーいおいと泣くうちにどんどん小さくなって実年齢である8歳に戻っていくところが。
2009/08/16
ゆるり
大島弓子が描くと普通の日常がこんなに新鮮にスリリングになるから、嬉しくなっちゃう。“水の中のティッシュペーパー”は何十回めかの再読。やっぱり可愛いなあ。あとの作品では、タイトルの“真夏の夜の獏“がよかった。猫を人間の姿にしたり、精神年齢で登場人物を絵にしたり、ほんとに発想が面白いなあ。めまぐるしい毎日に疲れた時、読み返したくなる作家さんです。
2014/01/30
絵具巻
文京区立真砂図書館で借りました。
2015/02/13
音色
もうこの本自体は入手難しいのかな? 収録作品は、水の中のティッシュペーパー、夏の夜の獏、山羊の羊の駱駝の、つるばらつるばら、月の大通り。どれも好き。 大島弓子さんは漫画家で一番好き。合う。 絵にもストーリーにも酔える。この時代の大島さんの絵が一番好き。 「夏の夜の獏」の小箱さん、素敵すぎる。眺めてうっとり。 「つるばら つるばら」も切なくて切なくていい。蟹沢さん登場シーンはその可憐さに倒れた。「瞳はあめがけの黒糖みたいなのよ」と鏡を見つめているその顔、大好き。 ああ大島弓子はいい!
感想・レビューをもっと見る