援助者必携はじめての精神科 第2版
援助者必携はじめての精神科 第2版 / 感想・レビュー
白義
援助者のために書かれた本ではあるが実際は心の病に取り組むほとんどの人が読むべき、マニュアル離れした深みがある。「究極のリアリズム」とでも言うべきものが本書の基本トーンで精神科の現場のあるあるに本音で答え実践的。患者に嘘もつかなければいけないし困った患者やその家族にはどうしようもなくむかつく、結局どうあがいても救えないし死んでしまう患者もいるよ、と淡々とした率直さで幻想を拒みながらそんな現実への対処を指南している。その明け透けぶりから精神医療者への手引だけでなく、普遍的な他者論としても極めて有益でもある良書
2016/12/22
なこ
精神疾患の基礎知識というよりは、精神疾患と関わる上での「困った」への対応やその心構えについて書かれています。 ホームレスや依存症など、不幸から抜け出す道はあるにも関わらず、不満だけ言って行動しない。健常者の日常でも往々にしてあることです。私たちは良くも悪くも不幸に慣れてしまいます。不幸でもある意味均衡が保たれた安定の状態を、多大な努力をかけて解決しようとするのは、簡単に言って面倒臭さいのです。だから愚痴しか言わない楽な道を選び続ける。その他にも人間を理解する補助線を知ることが出来たのは大きな学びでした。
2024/07/24
Gen Kato
実は表紙買いなんですが、内容の濃さとそれでいてわかりやすいことに感動。病気に対して具体的に何ができるのか。今後も何度も読み返すであろう、名著だと思います。
2018/10/12
かえるくん
「援助者必携」という謳い文句を大げさとは感じさせない凄みがある。そう感じるのは、熱意とやさしさだけではじゅうぶんではない、ということを痛感した著者によるアドバイスだからだろう。経験を積んだ援助者であれば、この本に書かれていることのいくつかを実践しているはずだが、そのすべてをあますことなく周囲に伝えられているとは限らない。それだけに援助者の奥義とでも呼びたくなる諸々を、ここまで言語化して遺してくれていることに感動した。援助者として、こんなに頼りになると思った一冊はない。
2017/10/08
さぶ
精神科患者の援助に携わる者の入門としてだけでなく、他科の医師やその他精神疾患を含む相談者がいる弁護士等の業務者にも役立つ内容でした。教科書的な内容ではなく、誤解を恐れずに永年の精神科医としてのお考えを披露されており、ためになりました。
2015/11/02
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