オープンダイアローグとは何か
オープンダイアローグとは何か / 感想・レビュー
夜間飛行
オープンダイアログは患者を囲んで関係者が自由に対話を交わすだけという画期的な治療法だ。統合失調症、鬱、PTSDなど幅広く効くらしい。対話の中心にいる患者は、時には自分について専門家同士が語る話を聞くことになる。こうして双方向の観察を保ちつつ決して結論を出さない。バフチンのポリフォニー理論が応用されているそうだ。医師という権威が介入しない点は注目すべきで、そこに生じる不確実性への不安を全員で共有し、開かれた対話によって言語化していく過程に温かさを感じる。ダイアログを生産し、治癒は副産物という考え方も面白い。
2017/06/20
どんぐり
オープンダイアローグは、フィンランドの西ラップランド地方にあるケロプダス病院のファミリーセラピストを中心に、1980年代から行われている対話による治療法である。日本では精神医療の新しい可能性として注目され、そのガイド書として本書は「オープンダイアローグとは何か」の解説と、「フィンランドの実践者たちによる厳選論文」を紹介している。オープンダイアローグは、患者本人と危機対応チーム、そのほかの重要な関係者全員が参加するミーティングにおいて対話プロセスで行われる。参加者は自由に意見を交換し、患者が急性期を脱して症
2016/11/23
おたま
星野智幸の小説『だまされ屋さん』から知った「オープンダイアローグ」。この本は題名通りオープンダイアローグの基本的な考え方を紹介したもの。オープンダイアローグは精神疾患に対する「治療」ではない。少なくともそのような構えで治療チームは患者に臨まない。患者(というか問題を抱えた者)とその家族や知人等のネットワークの中に入っていき、そこで交わされる「対話」の内部に入り込んで「対話」を支え続ける。時には、打開の方途をネットワークの前でオープンに話し合ったりもする。すべてはオープンな「対話」(オープンダイアローグ)⇒
2022/12/23
ネギっ子gen
依頼があったら、「24時間以内」に精神科の「専門家チーム」が出向いて行く。そこで患者・家族・関係者を交えて、患者の病状が改善するまで、ひたすら「対話」をする———フィンランド発のシンプル極まりないこの手法に、なぜ世界が注目するのか? <オープンダイアローグとは、これまで長い歴史のなかで蓄積されてきた、家族療法、精神療法、グループセラピー、ケースワークといった多領域にわたる知見や奥義を統合したような治療法>と書く著者が、オープンダイアローグの第一人者セイックラ氏の論文と、熱情溢れる丁寧な解説が融合した書。⇒
2021/01/28
きいち
オープンダイアローグは、薬を使わず統合失調症を改善させたフィンランドでの実践。理論的枠組みを踏まえ紹介する斎藤パートと実践者セイックラ教授の論文からなる。◇当事者と支える周囲のネットワーク、それに治療者チームが権威関係のないフラットな関係で対話していく。当事者のいないところで判断や決定をしない(目の前で専門家同士がリフレクションしあう!…時に当事者も混ざる)。生身の価値。◇すごいの見つけた!という斎藤環の興奮ぶりが、そもそもの治療の難しさを知らぬ自分にも伝わる。ワークショップの実践にとても参考になりそう。
2018/11/30
感想・レビューをもっと見る