開かれた対話と未来 今この瞬間に他者を思いやる
開かれた対話と未来 今この瞬間に他者を思いやる / 感想・レビュー
テツ
お医者さんと患者さんだけではなく何人もの関係者を集めて集団で対話するというオープンダイアローグについて。「聞く」ということにだってテクニックは存在する。どうしたって人は他人の群れである社会と多かれ少なかれ関わって生きていかなければならない存在ではあるのだから、それによって精神が傷ついたときに、同じようにそれによって救われるのが理想だよなあ。ぼくはアホなんでメンタルは頑丈なんですが、周囲に疲れちまった奴らがいたら気をつけてやりたいよな。日常的な会話の最中にも聞くためのテクニックを忘れずにいたいですね。
2023/08/14
ポレ
専門書の訳書としては出色の出来。監訳した斎藤環先生のオープンダイアローグへの思いが伝わってくる。本書で繰り返し語られることは対話の重要性である。人は関係性の中に生きる存在であり、対話を通じて他者との関係性を築いていく。対話の中核をなすのは、自分とは違う他者の他者性を尊重することである。その異質な存在の他者と対話をするうえで必要なことが、不確実性への耐性という。どこまでも異なった存在の他者を、ありのまま肯定し承認する。オープンダイアローグは統合失調症の治療法だが、人が社会で生きる指針を示してくれる。
2020/02/29
ゆるこ
児童養護施設でもオープンダイアローグできないかなという漠然とした夢を持ちつつ一読した。 まだ少ししか理解できてないから再読するけど、取りあえず気がついたのは、今は「子供の人権」とか「主体性」とか言いつつ、それを「大人が教えて守ってやらなきゃ」って、大人たちが思いすぎてるんじゃないか?ってこと。それって矛盾してるし、仕事が大変なのはそのせいもあるのではないかな。当事者である子供たちに、私たちはもっと相談して教えてもらったり助けてもらって良いのではないか思う。きっと職員よりずっとわかってることも沢山あるはず。
2019/09/15
佐藤光弘
カウンセリングの最初のセッションで言われたことは今でも記憶に新しい。 ①うつは治る病気です。 ②もとの自分には戻れないけれど、新しい自分になれる。 ③貴方は時代の先駆者。後輩たちへ道を切り開いている。 その後、「リワークプログラム」に通う。 「私もスタッフも最大の応援をするけれども、病気を治すのは貴方自身ですよ」 対話を重視したプログラムに取り組み、気力体力が回復。 「オープンダイアローグ」を実践していたのだ。 他人なれども語らひぬれば命にも替るぞかし。 レジリエンスを引き出す最高の「人薬」は、対話だ。
2020/06/07
kentake
本書で紹介されるオープンダイアローグは、精神医学、特に統合失調症患者の治療から生み出された手法であるが、他者との違いを認め、他者を変えようとしない対話的アプローチが重要な点など、対人関係がポイントとなる組織マネジメントにも大いに参考になる。対話的な関係の下では、言葉は話し手と聞き手の間で共有されるものであり半分は聞き手にも属しているという考え方は分かりやすい。 また、第4章で紹介されている「未来語りダイアローグ」の中で触れられている「未来を思い出す」というアプローチは、人間社会の諸問題解決の原点だと思う。
2019/12/28
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