薫は少女 (フォア文庫 B)
薫は少女 (フォア文庫 B) / 感想・レビュー
マツユキ
『八月のひかり』の中島信子さんの過去の作品を読みたくて。1976年に出版された作品です。幸子は、嫁ぐ日に、若くして亡くなった妹、薫を思い出す。体が弱いが、手がつけられない程、お転婆な薫の活躍が気持ち良い。正義の心を持った、優しい女の子。戦後間もなく生まれ、物は足りなくても、健やかに育ったのに、あまりにも早い死。読み終わって、改めて薫が何を感じていたか、知りたいと思いました。
2019/10/17
菜月
子供の頃に読んだ中で1番心に残っている作品。 慎重派で常識人の姉とは正反対の薫。その破天荒っぷりに笑ったり、ハッとするような正義感に心打たれたり、とにかく魅力的な薫だが、体が弱く、それを悟られないよう努めて明るく振る舞う姿が切なかった。 愛猫を安楽死させるシーンから薫の死まで、涙無しでは読めない。 子供の頃は母の「死んでしまうなら、赤ちゃんの時に死んで欲しかったの」の意味が分からなかったが今なら痛いほどよく分かる。 傑作なのに絶版だなんて勿体ない!
2018/07/05
yucono
子供が「国語のテストに出題された物語文が悲しいけれどとてもよくて何度も読んでしまい、テストの見直しができなかった」と筋を話してくれたので、猫、ミンミ、薫などのキーワード検索でたどり着いた。出版は昭和50年代だが昭和20~40年頃の話で、現代と違う、戦後の日本の生活や考え方を感じ、破天荒な薫に驚きながらもだんだん薫が愛おしくなる。ミンミの辺りからは泣けてきて、自分もその場にいるようだった。現代の本とは違う文体を懐かしく思う。子供の頃にこの本に出会えなかったが、今、子供を介して出会えたことが嬉しかった。
2021/07/30
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