小説 土佐堀川―女性実業家・広岡浅子の生涯
小説 土佐堀川―女性実業家・広岡浅子の生涯 / 感想・レビュー
天の川
廣岡浅子という女性はまさに豪傑だ。三井家から大阪の両替商に嫁したものの、豪商の若御寮人さんに納まることなく、維新の混乱に両替を迫る民衆に対峙し、資金繰りに東奔西走。炭鉱経営に乗り出して筑豊の荒くれ者と渡り合う。彼女の凄さは実業家としての才覚だけでなく、女性の地位向上と人材育成のために持てる人脈や財力を提供したこと。日本女子大の設立に奔走し、戦争未亡人や遺児の生活が立ち行くように、自立のための職業学校を設けている。市川房枝も彼女の元から育っている。もっともっと世間に知られるべき女性ではないかと思った。
2014/10/17
くみん
次の朝ドラのモデルである広岡浅子の物語。女であることを言い訳にも逃げ道にもしない筋の通った生き方には、男女平等なんて言葉は必要ないのですね。止まることを知らないバイタリティ溢れる素晴らしい女性。「商売で儲けた金は、広く社会に還元していかなければならない」といつも自分の立ち位置を心得ていて、揺るがない信念を貫く姿は立派としか言いようがありません。ただ『負けんとき』のヴォーリス夫妻を助けた件もなく、女子大もいつのまにかできていた感があり、物語としては少し物足りないですが、出てくる人脈には驚かされました。
2015/09/13
はやしま
こんな女傑が近代日本の黎明期にいたとは。数々の事業を成していく意志と行動力とその背景にある勉強熱心さに圧倒される。交流する人物も渋沢栄一や大隈重信から浅子が育てた市川房枝まで政治・経済界の重鎮、社会活動家らの名前が連なり、広河浅子の生涯を描いた本ながら明治大正期の激動の日本の姿を描いてもいるよう。平成27年のBKの朝ドラのモデルということで手に取ってみたが、朝ドラというより、経済ドラマ、大河ドラマになるんじゃないかと思うほどの内容。どのように描かれるのか楽しみ。面白い人物と出会えた一冊になった。
2015/01/29
0717
今年後半のNHK朝ドラになるそうだ(見ないけどね)。広岡浅子さん知りませんでした。幕末に三井家の生まれで大阪の商家へ嫁ぐけど、じっとしてません。維新後石炭が売れるとみると九州の炭坑を買い取って短銃懐に乗り込んでみたり、銀行を興し、女子教育の必要性に共鳴すると日本女子大学の設立に奔走したり、大同生命も立ち上げました。女性実業家の草分け的存在のようです。女性視聴者の多いであろう朝ドラには良いテーマだと思いますよ。
2015/01/19
ひろさん
朝ドラの原案本と知って図書館から借りました。読んでみて「びっくらぽん」なこと3点。1、この本が25年以上前に発行された本であった事 2、子供が出来ないからと浅子が自分のお付女中を側室に差し向けた事。(ドラマ設定なら、友近と玉木!)3、中身はほぼ明治の黎明期の経済小説に近い事。いろいろビックリなことは有るのですが、それでも人生の混乱期にこそチャンスありとした広岡女史の自分で自分の人生を戦って行かなければならないという精神に脱帽です。すごい人です。女傑と呼ばれるのも納得。
2015/10/15
感想・レビューをもっと見る