新装版・ゲーテ全集 3
新装版・ゲーテ全集 3 / 感想・レビュー
tieckP(ティークP)
ファウスト自体は再読。そのときは筑摩の大山訳で読んだんだけど、その訳の良し悪しを判断できるほど当時は古典の知識も無ければゲーテについても疎かった。この山下訳は非常に読みやすいし、トーンを幾つか使い分けているのも感じる。注釈も、とりわけ節全体につけられて場面を説明しているものは有用で、以前は字面をなぞっただけの部分もしっかり内容を堪能できた。本としての値段も安いので、出版社名に抵抗がなければ十分お勧めできる。それにしても『ファウスト』という作品にはゲーテがすべて詰まっていて、読むのに苦労するけど素晴らしい。
2013/09/21
twinsun
グレートヒェンの祈りによりファウストが昇天するさまはシベリアでのラスコーリニコフと彼を見守るソーニャ(「罪と罰」)を思い起こさせた。探究に絶望しながらも時空と財をわがものとし享楽の中でなおも真理に希望を持ち続け死に至るファウストとシベリアの凍土で再生の時を待つラスコーリニコフ。ともに聖女で光への道を歩む。共に!と言う声が聞こえるようだ。
2022/09/17
泉のエクセリオン
「ファウスト」再読。訳の読みやすさは、人文書院の大山定一訳に次いで二番目に読みやすいと思う。膨大な訳注も整理されていて読みやすい。解説も、すごいあっさりしている。ただ、個人的に気になったのはファウストの契約の言葉「時よ止まれ」が今回は「時よ、留まれ」になっていた点。個人的な感性の問題かな。何回も読んでいるけど、個人の可能性としての人生を、限界まで生き切ったファウストには感動してしまう。
2016/02/20
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