新装版・ゲーテ全集 6
新装版・ゲーテ全集 6 / 感想・レビュー
twinsun
ヴェルタ―は旦那のいる女に横恋慕してどうすると思っていた。初恋の人と相思相愛で結ばれ添い遂げる人生を送るのでなければ必ずいくばくかは味わうであろう感情の様々に苦い思い出を噛みしめながら味わうことができた。親和力は6年ぶりの再読だが、エドアルトとオティーリエが天上で結ばれている姿が想像できず、規範や道徳を破壊するほどの狂おしい想いを体験した者のみが共感しうるものであるのかと考えた。ノヴェレの最期の笛はおめでたい出来栄え。ドイツ避難民閑談集は枠物語ではイタリアの船乗りの妻の話は説教臭いがいい話だ。
2022/03/28
泉のエクセリオン
「若きウェルテルの悩み」は初恋の瑞々しい感情を詩的に、ゲーテの自然観を交えて非常に情緒豊かに表現する。ウェルテルもファウストと同じように「己の自我を全宇宙にまで広げる」というような激しい渇望を抱いており、それを恋によって成し遂げようとしたのだと思う。しかしファウストにはメフィストがおり、より大きな世界に行くことができたが、ウェルテルはそうではない。又、シャルロッテは婚約者がおり『神曲』のベアトリーチェではなく、そうした渇望を抱いているウェルテルに応えることは出来ない。ウェルテルの自殺は非常に切なく感じた
2024/10/18
ELW
12月はこれを読むはずが、読書メーターには登録できない『ハリーポッターと合理主義の方法』にかまけてしまった。 さて、『若きヴェルターの悩み』が熱病のように流行った ことには現代人としては納得がいかなかった。『親和力』は 筋書きの為に幼子の命をもてあそんでいるのが気に入らないが、オティーリエの拒絶の動作は素晴らしかった。『ノヴェレ』や『ドイツ避難民閑談集』を読むと、やはり『ファウスト』の気配が感じられ、教科書的に古典主義に分類されていても、ロマン主義におきたい。『長い長いお医者さんの話』を読み返したい。
2022/01/21
ロピケ
この間読んだヘッセの本で、ゲーテが化学作用を構成上のヒントとして描いた小説と紹介されていて、気になった作品(『親和力』)。ゲーテって、若者の苦悩のような堅苦しい話っていうイメージがあって、取っ付きにくかったけれど、この本には没頭しました。道徳観念が厳しかった時代のつもりだったので、この展開は作品発表当時は、問題視されたのではないかと私でも心配になるほど。註が親切すぎて、読者に過保護な気もするくらい。最近読んだ『旅は驢馬を連れて』の註の、突き放した感じにもびっくりしたけれど。でも、子供の扱い方が酷すぎる。
2013/02/20
MaRuTaTSu
『ヴェルター』は言わずもがな。 今回注目したのは『ドイツ避難民閑談集』。おしりにゲーテのメルヒェンがくっついてます。とある文献にて、ゲーテのボッカチオ・モデルだとあり、さらに我らがシラーさんが発表した『美的教育書簡』と一緒に雑誌に掲載されていて、その関連について触れられていたので。形式から見れば、確かにボッカチオ。中身は確かに啓蒙と神秘文学の要素。『美的教育書簡』も分かるけど、個人的にはどっちかっていうと『Geisterseher』に近いのかな、と。
2012/10/23
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